北京をはじめ中国の大都市とチベット自治区ラサを直結する「青海チベット鉄道」が開通して一年。“秘境”チベットは一気に身近になった。鉄道開通からわずか半年余りで、観光客数や収入は前年に比べ40%も急増。今年の訪問者数は自治区の人口を上回る300万に達すると見込まれる。ラサでは、ホテルの建設ラッシュが続き、鉄道ブームに沸いている。しかし、外からの資金や文化が大量に流入し、都会に憧れる若者が続出する中で、チベット文化をどう護っていくのか、という新たな課題も浮上している。 番組では、チベット鉄道が大量の客を送り込む夏の観光シーズン、開業したばかりの豪華ホテルにカメラを据えた。四川省の巨大資本家、漢族のオーナーは、チベット文化を売り物に大量の観光客獲得に成功したやり手経営者。そこに地元チベットの若者たちが就職し、民族伝統芸能の演奏や踊りを披露したり、骨董品の買い付けを案内したりして働き始めている。敬虔な仏教信者の地域から出稼ぎにきた若者たちは、都会の文化や資本の論理に驚き、戸惑う毎日だ。夢の鉄道は、チベットにどんな変化をもたらすのか。巨大ホテルで繰り広げられる人間模様に密着し、変ぼうするチベットの今を描く。
|