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文科相「訂正申請に対応」:検定修正検討を指示

 【東京】高校歴史教科書の「集団自決」(強制集団死)の検定問題で渡海紀三朗文部科学相は1日夜、文科省で記者団に対し、教科書会社から訂正申請が出た場合について「もしそういうものが出てきたら真摯(しんし)に対応したい」と述べ、応じる姿勢を示した。町村信孝官房長官も同日午後の定例会見で「(記述を)訂正できるのか、修正できるのかには、関係者の工夫と努力と知恵があり得るのかもしれない」と述べ、記述復活の可能性を示唆した。政府が検定問題で対応策に言及するのは初めて。

 教科書会社の執筆者らの中には、文科省へ記述復活を求める訂正申請をする動きが出ている。教科書会社の訂正申請を受けて、文科省が記述修正を受け入れる可能性を認めた格好だ。教科書検定意見撤回を求めて11万人超の人々が集まった県民大会を受け、これまでかたくなな姿勢だった政府が事態収拾に向けて大きく動きだした。

 渡海文科相は「検定に政治的介入があってはいけない。しかしあれだけの県民が声を上げることは、重く受け止めなければならない。重いもの二つがどうやればつながるのかを考えたい」と述べ、検定制度を維持しながら、何らかの方策を検討する考えを示した。

 検討の内容については「われわれの勧告で撤回することは大変難しい。わたしが意見を言って修正することは基本的にない」と述べ、文科省の方から主体的に記述復活への対応を取ることは否定した。

 対応策を決める時期について「できるだけ早く出したい」と述べ、早ければ15日に沖縄から要請団が上京する前にも結論を出す意向を示した。

 県民大会を受け、町村官房長官と渡海文科相は1日午前、教科書検定問題について意見交換した。渡海文科相が「大変大きな問題だ。県民の気持ちを考えて対応しなければならないのではないか」と述べたのに対し、町村官房長官は「文科大臣としてしっかり検討するように」と指示した。

 北側一雄公明党幹事長は1日午後、衆院内で伊吹文明自民党幹事長と会談し、教科書検定問題に

ついて沖縄県民への配慮を求めた。

 検定意見に基づく記述の訂正申請では、1980年度の高校現代社会の教科書検定で、水俣病の原因企業名「チッソ」が削除され、世論の反発などで文部省(当時)が事実上検定意見を撤回。教科書会社各社の訂正申請を承認する形で、記述が復活したケースがある。

<ニュース用語>

集団自決の記述削除問題

 文部科学省はこれまでの教科書検定では沖縄戦の「集団自決」が旧日本軍の強制によるものとの記述を認めてきたが、今年3月末公表の高校歴史教科書の検定意見で「沖縄戦の実態について誤解する恐れのある表現」と指摘。教科書会社が記述を削除し、検定に合格した。軍の自決命令の有無をめぐり、当時の軍指揮官らが作家大江健三郎さんらを訴えた名誉棄損訴訟が係争中であることも理由の一つとされた。

教科書の訂正申請

 教科用図書検定規則では、検定済みの教科書に誤字や脱字、事情の変化などで明らかに誤りの部分があることを見つけた場合、教科書発行者は訂正をしなければならない。また、統計資料などを最新のものにするといった訂正も可能。文部科学相は、検定済み教科書の記述に誤りがあった場合などに、発行者に訂正を求める勧告をすることができるが、これまで勧告が出された例はない。

(琉球新報)

 2007年10月3日

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