◎都心マンション急増 地元意識を高める工夫がいる
金沢市や富山市中心部のマンション建設が好調で、北陸でも都心回帰の流れが加速して
いる。現在は熟年層が中心で、今後は新幹線開業により、転勤族や学生の入居も見込めるというが、マンションやアパートにありがちな一時的な居住から、中長期的な定住につなげるためには、地域社会の一員であるとの意識を高めることが大切であろう。
周辺の美化など地域活動への関心が薄く、隣近所付き合いも敬遠しがちな傾向が強いと
言われる集合住宅の入居者に地元意識を持たせるには、まずは交流が乏しい隣人同士が集う機会をできるだけ多く設けることが大切であり、自治体には今後一層、積極的に集合住宅独自の町会を作る仲立ち役をしてもらいたい。
都心部のマンション建設ラッシュには、新幹線開業による地価上昇を見据えた県外資本
が、沿線の拠点都市に狙いを定めて進出し、利便性を求める団塊世代や高齢者などを中心に入居者が見込めるという背景もある。金沢市では過去五年で約二千戸の共同住宅が着工し、即日完売するケースもあるという。また富山市では、同市の「まちなか居住推進事業」の効果で、郊外から中心部へ移り住む人が増え、昨年九月には四十三年ぶりに中心部の人口が増加した。
地域の一員としての自覚を持ってもらうことは、ごみ収集などの地域環境の改善や防犯
活動にも不可欠である。また、地震などの災害時に地域から孤立していたのでは、必要な情報収集が遅れることもある。地域との人的交流の風通しは良くしておきたい。
この点で、たとえば金沢市では、集合住宅の入居者が地元町会へ加入するのを促進する
条例案の骨子を固め、今後、コミュニティー組織の形成について助言する相談窓口の設置も検討するという。地域の町会と連動した活動をするにも、基盤となる集合住宅での単独町会があるに越したことはない。しかし、実際はまだまだ少ない状況であり、自治体の後押しが、ぜひとも必要だろう。
さらに地元に愛着をもってもらうため、歴史を学ぶ各種講座などを入居者に紹介し参加
を促すといったように、市や町会などの地域団体、集合住宅の事業者が連携して、ふるさと意識を高める工夫も期待したい。
◎経済諮問会議が再開 生かすも殺すも首相次第
福田内閣になって初めての経済財政諮問会議が開かれ、今後「地域経済立て直し」や「
社会保障制度と税の在り方」などを主要議題に取り上げて、政策提案を行っていくことを申し合わせた。小泉政権時代の経財諮問会議は構造改革のエンジンとなり、官邸主導型政治の象徴的な存在ともいわれた。ところが、いわゆる調整型政治を得意とする福田首相の下では、経財諮問会議の機能が低下するのではないかという見方が絶えない。諮問会議が本来の役割を果たせるかどうかは、ひとえに議長役の福田首相の指導力にかかっており、会議を生かすも殺すも首相次第といっても過言ではない。福田首相はそのことをまず心得てほしい。
福田首相は、小泉、安倍両政権が推進してきた改革路線の継承を強調している。経財諮
問会議が引き続きその旗振り役を担うことが期待されているが、福田政権をとりまく政治環境と首相の政治手法が会議の先行きを見えにくくもしている。
例えば、これまでの官邸主導は微妙に変化し、政策論議は与党との協議に比重が移って
いる。ほとんどの派閥に支えられる内閣の性格もあって、与党が政策決定の主導権を握るようになってきたともいわれる。
また、福田首相に顕著な官僚との融和姿勢が、これまで民間議員がリードした経財諮問
会議の存在意義を薄れさせる可能性もある。公務員制度改革に関する政府の懇談会は、当初十一月に予定していた報告書のまとめを来年一月に先送りしたが、それは「公務員バッシング的発想だけではバランスを欠き、じっくり議論してほしい」という官邸の要請があったからという。こうした福田内閣の姿勢は、結果的に官僚主導の政治につながり、経財諮問会議を前面に出しての官邸主導政治を形がい化させることにもなりかねない。
さらに、政権運営のため公明党への配慮がより必要になり、国会で民主党との協議も不
可欠なことなど、経財諮問会議に影響を与える要素が種々あるが、肝心の福田首相は諮問会議の運営方針をまだ明確に示していない。福田政治の中で諮問会議をどう位置づけ、どんな役割を担わせるかといった基本的な考え方を語ってもらいたいと思う。