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「PS3用ソフトは、本当に日々進化している」と久夛良木社長は僕に言った
2006年05月09日
5月8日(現地時間)、いよいよE3週間がスタートした。我々ゲーム業界に身を置く人間にとって、その直前まで展開していた黄金週間(ゴールデンウィーク)よりも黄金色の強い(?)1週間の始まりである。
5月8日と9日はE3の前哨戦的な意味合いが強く、有力ソフトメーカーと3大ハードメーカーがプレス向けの発表会を行う。これは毎年恒例のことだ。ちなみに今年は、8日にスクウェア・エニックスとソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、9日に任天堂とマイクロソフトが動き、さまざまなサプライズを提供する予定。……じつはついさきほど8日分の発表会を取材し終えたところで、急いでこのブログに向き合っているところだったりするのであった。
やはりニュース記事というものは基本的に、速報性こそを最重視する少々無機質な内容になりがちだ。もちろん、これまでのファミ通.comもその例に漏れない。しかしここは、僕個人の主観で綴るブログである。なので、ニュース速報ではなかなか踏み込めない、湯気がたつくらいほかほかの記者の感想(僕の、だけど)を書いてみたいと思う。
まず先陣を切って行われたのがスクウェア・エニックスの発表会。すでにファミ通.com誌上にたくさんのニュースがアップされているので発表内容の詳細はそちらを参照していただきたいが、記者として会場で発表の一部始終を見ていた僕の感想は、
「本当に度肝を抜かれた!」
というもの……。「うわ、めちゃくちゃふつうすぎる感想!」と言われてしまいそうだが、本当にそうなんだから仕方がない。これくらい大きな発表に出会ってしまったら記者と言えども、とにかく少年のように驚くしかないのだ。やはりスクウェア・エニックスというメーカーはゲーム業界の巨人である。いま、これだけのクオリティーのソフト群を擁せるメーカーは、世界中を捜してもそうそうないと断言できる。次世代機用ソフトからモバイル対応コンテンツまですべての作品がズバ抜けたクオリティーを見せつける様は、我々をして"日本のソフトメーカーはこれだけブッチギリですばらしいんだぞ!"と誇りたくなるほどである。
そんなスクウェア・エニックスの発表会で、何にいちばん驚いたのか。やはり最初に脳裏に閃くのはプロジェクト名"ファブラ ノヴァ クリスタリス"、『ファイナルファンタジーXIII』に関する一連の発表だ。プレイステーション3で2作品、携帯コンテンツとして1作品が展開されるという。会場ではかなり長時間のデモ映像が流されたのだが、その映像美は驚異的と言える。ちょっと信じられないくらい美しい。ほとんど息をすることも忘れて『ファイナルファンタジーXIII』の映像をぼんやり眺めていたのだが、いやはや"画面がキレイ"ってことはとてつもなくインパクトが強いことなんだなぁと再認識してしまった。どれくらいキレイかというと、たとえば『ファイナルファンタジーXII』も本当に美しい作品だと思っていたが、この『XII』のCG映像部分をリアルタイムで操作できるのかも、って思わせてくれるほど美しい。何点か画面写真も公開されているが、これらの映像がギュンギュンと高速で動くさまは感動を覚えるほどであった。
そしてハードメーカーの先陣を切って行われたSCEの発表会。ここでまさかの発表があった。それは、
……じゃなくて(これについてはファミ通レンジャ部隊のひとりとして、のちのちきっちりと突っ込ませていただく)、プレイステーション3の発売日と価格の発表である。発売日は2006年11月11日で、価格は62790円(税込価格。税抜き表示にすると59800円)。発売日はともかく価格については、おそらく多くのゲームファンが「だいたいこれくらいの価格になるだろうな」と思っていたものと大きな差がなかったのではないだろうか。かくいう僕も(59800円くらいではなかろうか)とずっと思っていたクチ。いろいろなメディアや研究機関が"70000円を超える"、"いや10万だ"なんていう憶測を口の端に乗せていたが、「風雲児・久夛良木健がそんな価格設定にするはずがない」と強く思っていた。確かに現行機と比べれば高価ではあるが、ゲーム機としてのポテンシャル、ブルーレイディスクプレイヤーとしての存在価値などを考えると、かなり戦略的な価格と言えそうだ。
そして発表会が終了後、なんと久夛良木健社長と話をする機会を得た。詳しくは別の機会に記述したいと思うが、ちょっと価格について聞いたことだけ書きたいと思う。「どんな戦略でこの価格設定にしたんですか?」という僕の質問に対し、ちょっと冗談っぽく「安すぎたかも」と言って笑ったあと、久夛良木社長はこんな説明をしてくれた。
「`94年にプレイステーションを39800円で発売したとき、当時のスーパーファミコンやメガドライブは量販店で12000円くらいでした。それと比べると遥かに高い価格設定でしたけど、"あのマシンなら欲しい!"と思ってくれたことによりあれだけ売れたんです。プレイステーション2のときも同じ。あのマシンも蓋を開けたら、発売日にゲームファンがお店に殺到し、品不足にまでなりました。当たり前のことですけど、プレイステーション3って、世界にこれだけしかないでしょう。だから欲しい人はきっと買ってくれる。発売日には、プレイステーション2のときと同じように、ゲームファンがお店に集まってくれるんじゃないかと思います」
そしてもうひとつだけ、印象に残った久夛良木社長の言葉を記したい。プレイステーション3用ソフトの開発状況について聞いた僕に向かって、久夛良木社長は自信に満ちた笑顔でこう答えたのだ。
「本当に文字通り、プレイステーション3用ソフトは日々進化している。たとえば『グランツーリスモHD』。これは3日まえに見たときよりも昨日のほうが、そして昨日のバージョンよりも今日のバージョンのほうが遥かに進化しているんです。昔はある程度作ったらCD-ROMに焼いたりする作業で時間をとられましたが、このプレイステーション3はすべてをオンラインでこなせる。できたものをオンライン経由でつぎつぎとバージョンアップしているので、日々進化している作品をお見せすることができます。極端なことを言えば、E3の会場展示は3日間行われますが、毎日違うバージョンのソフトを見ることができるかもしれませんよ」
なんて時代になったんだろう……。そうつぶやいた僕に向かって久夛良木社長はにっこりと笑ってこう言った。
「すごい時代になったでしょう。でもそれが、プレイステーション3なんだよね」
この時代に生まれてよかった! 心から、そう思った。
投稿者 otsuka-eb : 2006年05月09日 14:14
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