2007年9月30日

出る気配のない試合。
今日に限っては、トニー（監督）の顔から
「お疲れさん。もう休んどけ」という気配が漂っていた試合。
いつもなら、出番がないと悲しくなってしまう僕ですが、
出番がないのにちっとも悲しくなかったのは初めてのこと。
しかし。
ジミー（ジム・エドモンズ・外野手）が、
「ソウ、トニーが呼んでるぞ」
「え？呼ばれてた？」
「うん。名前呼んでた」
しかし。
トニーの隣に行くと、何も言わない。
しかも、不思議そうに僕を見て、
「何か用か？」と聞くのです。
「用事・・・あるのはそっちでしょ？」
「いや、俺はないぞ」
「でも、ジミーが、呼んでたから、と」

結局、
「だからー」の意味で「ＳＯ」と言ったのを、
ジミーが僕の名前だと思ったようでした。
簡単なのにややこしい名前です。
お互いに苦笑いしていると、トニーが、
「用事はなかったんだけど・・・せっかく来たから、なんかする？
出たい？センターでも、入ってみる？」

そんな、ついでみたいに言うな！

で、センターに入って１打席回ってセンターフライで
２００７年のシーズンが終了しました。

試合の終わる頃は、ベンチの中が、少しそわそわし始めました。
「お前何時だ？」
「５時ちょうど」
「ダメだー。間に合わん」
「お前は？」
「６時３０分」
「ぎりぎりかあ」
みな、ピッツバーグから直接ふるさとに帰っていくのです。
そのために予約してある飛行機の時間に、間に合うかどうかという話。
負けた時点で突然シーズンが終わってしまうため、予定の立てようがないプレーオフには
考えられない光景です。
可笑しくもあり、寂しくもあり。

今年も、たくさんのメールをいただきました。
すべての皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。
来年はどこで野球をやっているのでしょうね？
その方向性が決まったら、またこの場をお借りして報告させていただきます。

本当にありがとうございました。

２００７年９月３０日　　　 　　　

セントルイス・カージナルス　田口壮　

2007年9月29日

アルバート（プホルス・内野手）のルーティーンワークは、
打撃練習のあと、何球かボールを投げること。
僕がバッティングケージに入っていると、そこに向かって
投球を開始しました。
それに対してバントをしたり、荒れ球をよけたりしていたら、
最後の球が突然変化して、僕の内腿を直撃。おかげで
つぶれた果物のように、大きなアザができてしまって、痛いのなんの。

しかし試合後、
「ＨＩＴ（当たった）のおかげで、今日は２ＨＩＴｓ（当たった）だったね！」と、
無邪気に笑ったアルバート。
それが本当なら、全身ずたずたになってもいいから、
毎日当てていただきたい。
アルバートが言うと、本当にご利益がありそうで、
心が揺れてしまうから、すごいわなあ。

　ペンシルベニア州ピッツバーグにて　田口壮　

2007年9月28日

久しぶりにゆっくりしている夜です。

ミルウオーキーでのナイトゲーム後、飛行機が渋滞して、
なかなか離陸の順番が回ってこなかったために、
ニューヨークに着いたのは午前４時。

選手は機内持ち込みの小さなバッグだけ持って、
大きな荷物の入ったスーツケースは自分で運びません。
スーツケースはまとまってホテルに到着し、「上げてください」と言うと、
それぞれの部屋に届けられるのです。
しかし、大人数が一気に到着するため、荷物が部屋に届くのも、
相当時間がかかります。そのため、ニューヨークに着いた夜は、
スーツケースの中身をあきらめて、とにかく寝てしまいました。

数時間後。起きるなり荷物を届けてもらい、
ごそごそ中から必要なものを出して、また入れる。
なぜならニューヨークでの試合直後にピッツバーグに飛ぶため、
球場に行く前に、チェックアウトしなければならないからです。

そこで、
「カージナルスのタグチですけど、荷物取りにきてくださーい」と
電話する。するとスーツケースはまた、全員分がロビーにまとめられるのです。
つい３０分ほど前に、僕の荷物を届けてくれた人が、またびっくりしたような顔で
荷物を引き取りに来ます。落ち着かないヤツだと、きっと思っていたことでしょう。

そしてチェックアウト。
午前４時半過ぎにチェックインしたのに、同じ日付であっという間にチェックアウト。
フロントの人が、
「チェック・・・イン、じゃなくて？チェックアウト？え？もう？」
僕に落ち着きがないのではなく、スケジュールが落ち着かないんですよ。

ニューヨークでの試合を終え、昨夜ピッツバーグに着いたのは午前３時近く。
天候が悪くて降りられず、上空でぐーるぐる、ぐーるぐる、飛び続けたのです。
そんな状態で落ち着いて眠れるはずもなく、またしてもホテルでぐったり、で、
やっと今夜。

打率は上がらなかったけど、とりあえず移動がないから幸せ・・・。

　ペンシルベニア州ピッツバーグにて　田口壮　

田口選手宛のファンレターはこちらまで　letter@taguchiso.com