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【社会】

“産みの苦しみ” 産科医当直5日に1回

2007年10月6日 夕刊

 産婦人科勤務医の当直回数は、二〇〇六年度は月平均六・三回で、六年前に比べ約30%も増えたことが、日本産婦人科医会(会長・寺尾俊彦浜松医大学長)の全国調査で六日までに分かった。単純計算で五日に一回以上の頻度。当直明けでも普段と同じ勤務をこなさなければならない施設が九割以上を占め、当直手当が増額された例もごく一部にとどまった。

 産科医の勤務の過酷さと待遇の不十分さがあらためて数字で裏付けられた形で、同医会は今後、改善に向けた具体的提言をまとめるとしている。

 調査はお産を取り扱う全国約千三百施設が対象で、約八百施設(62%)の有効回答を分析した。

 当直回数は、二〇〇〇年度に行われた調査では月平均四・七回で、一・六回増加した。

 同医会は「この数字は小児科や救急と比べても多いのではないか」としている。

 当直明けの勤務緩和措置については「なし」が全体の92・5%。国立系の施設(大学病院を除く)では100%、大学病院は97・4%が勤務緩和をしていなかった。

 過去一年以内に当直手当を増額した施設は9・4%。妊婦が糖尿病や妊娠高血圧症候群であるなど、リスクが高いお産を扱った施設に加算される「ハイリスク分娩(ぶんべん)管理料」を、一部でも医師に還元した施設は1%にも満たなかった。

 調査をまとめた同医会常務理事の中井章人日本医大教授(周産期医学)は「過重労働や労働に見合わない対価などが、産科医やお産施設の不足に拍車をかけている。妊婦の救急搬送に支障が出る一因もここにあるのではないか」としている。

 

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