東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

日本救急医学会 延命治療中止に基準 指針案 終末期定義し方法明示

2007年10月6日 朝刊

 日本救急医学会は、救急医療の現場で、終末期患者の延命治療を中止できる基準などを盛り込んだガイドライン(指針)成案をまとめた。終末期を脳死診断後などと定義し、人工呼吸器の取り外しなど治療中止の方法を明示した。刑事訴追を心配する現場の声を受け「(指針に従えば)法的にとがめられるはずはない」との文言を盛り込んだ。成案は十五日に大阪市で開く評議員会で可決される見通し。

 終末期医療をめぐっては、厚生労働省が四月に初の指針を策定。終末期の定義や治療を中止できる基準は盛り込まれず、医療現場では「刑事訴追されない条件がない」などと不満が強かった。

 一方、学会は二月に指針案をつくり、パブリックコメントを募集。法曹、倫理、宗教関係者から寄せられた二百七件の意見を反映させ「指針は最善の医療を行うことを具現している。法的にとがめられるはずはない」と追加した。

 終末期の定義は「不可逆的な全脳機能不全(脳死診断や脳血流停止の確認後なども含む)と診断された場合」や「治療を継続しても数日以内に死亡することが予測される場合」などと四分類。中止方法には▽人工透析、血液浄化などを行わない▽水分や栄養の補給を制限するか中止する−などを挙げた。薬物投与で死を迎えさせる「積極的安楽死」は認めていない。

 治療方針は、リビングウイル(生前に意思表示した書面)などで患者本人の意思を確認できるか、家族が本人の意思を代弁できる場合は、その意向に従う。家族が判断できない場合は、医療チームで判断するとした。

 

この記事を印刷する