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地元住民との話し合いで質問に答えるアークエンジェルズの林代表(左から二人目)=4日、高島市・酒波多目的集会所 |
滋賀県高島市今津町酒波(さなみ)の犬舎施設で皮膚病の疥癬(かいせん)が完治したという犬の飼育を計画している大阪市の動物愛護団体「アーク・エンジェルズ」(林俊彦代表)と、犬の搬入に反対する地元住民との話し合いが4日夜行われたが、双方の溝は埋まらず、同団体は5日、「犬を6日に搬入する」と同市に伝えた。
話し合いは地元の酒波など4地区で組織する「アーク・エンジェルズの進出反対期成同盟」(大森六己会長)と同団体が酒波多目的集会所で行い、住民約200人が参加した。住民側は▽犬の尿が雨水で流れるのでは▽疥癬は2、3カ月では完治しない▽話し合いは始まったばかりで地元が同意するまで搬入しないでほしい−などと訴え、林代表は▽尿の消毒には自信があり、できるだけ地下浸透はさせない▽疥癬が完治している証明書を付ける−と答えた。仲介役の同市幹部が搬入の再考を要請したが、林代表は即答を避けていた。
住民の望みは断たれた形だが、同同盟は6日に緊急集会を予定しており、酒波区の落合常雄区長は「(阻止は)無理だと思うが搬入反対の意思表示をしたい」と話す。
市では10月1日から市環境保全条例を一部改正し「生態系の均衡に配慮し、野生動植物の生息および生育の環境に影響を及ぼす行為を行わない」などの項目を追加、2日には海東英和市長が「市も議会、地元と一体となって郷土を守っていくために立ち上がる決意を表明する」との声明を出した。市は「法的には搬入を阻止することはできないが、市民の生活環境への不安は無視できない」と状況を注視するとしている。
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