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北朝鮮技術者が死亡 シリアのミサイル実験爆発
【ワシントン=有元隆志】今年7月下旬にシリア北部の軍事施設で、短距離弾道ミサイル「スカッドC」(射程約500キロ)の燃焼実験中に爆発が起き、多数の死傷者が出たが、死者の中に北朝鮮のミサイル専門家3人も含まれていたことがわかった。中東情勢に詳しい情報筋が4日、明らかにした。3人は弾頭をミサイル本体にとりつける作業の指導、監督にあたっていたという。弾道ミサイル開発でのシリアと北朝鮮との、密接な協力関係を示すものといえる。
爆発は7月26日、シリア北部のアレッポ郊外でおきた。シリア国営通信は、非常に爆発性の高いものが爆発し、シリア軍関係者15人が死亡、50人が負傷した、と報じた。
一方、9月26日発行の英軍事専門誌ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーは、シリア国防筋の話として、爆発はびらん性のマスタードガスを搭載した短距離弾道ミサイル「スカッドC」の燃焼実験中に起きた。この事故で、数十人のイラン人技術者らが死亡し、マスタードガスや神経ガスのVX、サリンなどの化学物質が、軍事施設内に拡散したと報じていた。
北朝鮮の技術者が化学兵器の製造にも関与していたかは不明だが、北朝鮮とシリアの軍事協力に関し、米政府は「外国の技術者が何人かシリア国内にいる。北朝鮮の人たちもいることは間違いない。われわれは注視している」(センメル国務次官補代理代行)と警戒を強めている。
米ホワイトハウスは昨年9月、「9・11から5年、成功と挑戦」と題する報告書の中で、北朝鮮がシリアと大量破壊兵器やミサイル開発で協力していると批判。ミサイルと大量破壊兵器分野での北朝鮮との協力は「シリアの活動を強化している」と明記した。
米国などは、北朝鮮がシリアに対してスカッドミサイルを輸出しているほか、ミサイル技術者の交換プログラムなどを行っているとみている。
さらに最近では、北朝鮮がシリアの核開発にも協力しているとの疑惑が浮上している。北朝鮮、シリアともに核開発での協力を否定している。