- 「正常の製パン工程を遵守するなら、プルマン型(角型)食パンには臭素酸カリウムの残存は検出されない」とありますが第一の問題点はここにあります。
どんな優秀な機械設備であっても操作するのは人であり、作業マニュアルも、作成したのは人であり、作業するのも人です。ところが人の行動にはミスは付き物です。過去の重大事故を手繰れば人のミスから生まれている事が良くわかります。山崎製パンは事故を「起きない」「起こさせない」を前提にして居るようですが、この世に絶対という事があるでしょうか。
食品工場で臭素酸カリウムのような毒物での万一の事故を防止するには工場内に持ち込まない事、つまり使用してはならない事であって「分析技術の精度が向上した」「科学的に安全性が証明され・・・」という事とは次元が異なり、臭素酸カリウムその物の安全性が証明されない限り使用してはならないと思います。
- 次に問題なのが日本パン工業会が臭素酸カリウムの使用自粛を放棄した事です。これですべての製パン業者が自由に臭素酸カリウムを使用する権利を得た事になります。食品衛生法上でも臭素酸カリウムの使用を禁じていないのですから・・・
製パン業者の多くは未だどこも脆弱な体質といっても良いと思います。(失礼・・) 信じられないかもしれませんが、中小パンメーカーの中にはデジタルスケールさえ満足に備えていないところもあると聞いております。
又広告の中で「交差汚染を防止するための・・・」とわざわざ触れておりますがパン屋での問題点は正にここにもあります。パン生地の転用など日常茶飯事で行われます。解禁されたが最後、臭素酸カリウム入りのパン生地はさまざまの種類のパンを汚染して行くでしょう。
- 「山型食パンにおける臭素酸カリウムの残存量を大きく低減することができた」とありますが、問題点は山形食パンではありません。他のテーブロールのようなパンにあります。バターロールのように焼成時間の短いパンの臭素酸カリウムの残存量は非常に大きいという事実は当初から指摘されていました。
- 問題点は他にも。「1995年のJECFAで再確認された(微量残留するので)小麦粉処理剤としての使用は容認できない」という結論が出ているのに、パン屋一企業の研究だけで安全性が確立されたといえるのか、又分解された臭素酸カリウムの安全性については何ら言及されていないなどの等等、多大な問題点が残されています。
JECFAとはFAO/WHO合同食品添加物専門家委員会のこと。
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