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自治体動かぬなら…社保庁が刑事告発 年金着服

2007年10月04日22時17分

 自治体職員による国民年金保険料の着服問題で、舛添厚生労働相は4日、宮城県の旧田尻町(現大崎市)の元職員を刑事告発するよう社会保険庁に指示した。大崎市が保険料28万円を着服した元職員の告発を見送ったことを受けた措置。業務上横領罪の時効(7年)前で告発していない9市町のうち、大崎市など5市町が処分済みや死亡を理由に告発しない方針。社保庁は、自治体が告発を見送れば、同様に社保庁として告発する。

 舛添厚労相は「徹底的にうみを出す。年金の横領ですから、社保庁、厚労省として告発する義務がある」と強調。また、大崎市が社会的制裁を受けていることを理由に告発を見送ったことについて「法と証拠に基づいて司法の判断を求めるべきだ。行政府の長が判断を差し挟むのは、三権分立にもとる」と述べた。

 社保庁が、時効前で刑事告発していない9市町に告発を求めたのに対し、東京都日野市は4日、警視庁に告発。一方、大阪府池田市や群馬県大泉町は「処分済み」として告発しない方針を明らかにした。

 大阪府池田市は発覚した02年当時、告発を含めて対応を検討した結果、停職1カ月などの処分に。「けじめはついている」(保険年金課)として、改めて告発の検討はしないという。

 群馬県大泉町も、横領職員をすでに懲戒免職にしており、「社会保険庁の方で告発されるのであれば、それについてはこちらとしては関与することではない」(総務課)としている。

 三重県鳥羽市の木田久主一市長は9月25日の記者会見で、告発しない方針を明らかにしている。社保庁から告発の要請文は届いているが「離島の神島で起きている断水への対応で忙しい」(総務課)と後回しにする。

 北海道様似町は、横領した職員が今年2月に死亡し、告発できないという。

 このほか、秋田県男鹿市、福島県田村市、愛媛県新居浜市は「検討中」だという。

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