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党大会前、 胡錦涛の軍部人事配置が完了

 【大紀元日本10月5日】中国共産党十七回代表大会(以下十七大)は10月15日に開催される予定だが、開催日が迫ってくるとともに、中南海の内部抗争も白熱している。現党首・胡錦涛の軍隊、党務及び政府部門の人事配置は全面完了したという。

 七大軍区の司令官、空軍司令官、国防大学校長、軍事科学院院長と武装警察部隊の上層部の幹部が全員更迭された。中国共産党中央弁公庁、中央警備局、国家安全部、新華ネットの責任者など重要部門もすべて胡錦涛系幹部が取って代わった。 前党首江沢民の部下が逮捕されたり、「双規」(規定された時間に規定された場所で自己反省させること)され、あるいは免職させられた。

 それ以外に、中国共産党政治局常務委員・曾慶紅引退の噂もよく取り上げられ、内部の人は曾慶紅の年齢詐称を摘発した。曾氏がもっとも信頼した部下も胡錦涛に投降、各方面の圧力によって曾慶紅は十七大で免職される可能性が大きいという。

 各大軍区司令官の更迭

 十七大開催を前にして、中国共産党軍上層部の変動が頻繁になっている。北京軍区、南京軍区、広州軍区、蘭州軍区、成都軍区、瀋陽軍区、済南軍区、および各大軍区と同じクラスの空軍、国防大学、軍事科学院と武装警察部隊などの重要部門の司令官や指導者が全員更迭された。

 「聨合早報」の報道によると、今回軍区司令官の調整の中に、56歳の広州軍区参謀長・房峰輝は朱啓に取って代わり、きわめて重要なポストである北京軍区司令官に任命されたという。房峰輝は七大軍区で、最も若い司令官であり、2005年に胡錦涛に中将に任命された。それ以外に60歳の南京軍区参謀長・趙克石は陽文泉の後任として南京軍区の司令官に栄転した。

 59歳の副参謀総長・章沁氏は63歳の広州軍区司令官・劉鎮武氏と職務交換し、60歳の蘭州軍区参謀長・王国生氏は李乾元の後任として蘭州軍区司令官に昇進した。58歳の成都軍区副司令官李世明は王建民の後任として成都軍区司令官を担当する。

 副参謀総長・許其亮は喬清晨の後任として空軍司令官を担当し、空軍副司令員・劉成軍は鄭申侠の後任として軍事科学院の院長に就任する。北京軍区参謀長・王喜斌は馬暁天に代わり、国防大学学長に就任する。

 他に「中国時報」によると、参謀総長梁光烈氏は、現在年齢72歳の曹剛川に取って代わって、中国共産党中央軍事委員会副主席を引き継ぐとともに国防部長を兼任する。胡錦涛に深く信頼された元総装備部長・陳炳徳は梁光烈を引き継ぎ参謀総長。もっとも注目された人事異動は、中国共産党元総書記・胡耀邦の娘婿、海軍副政治委員・劉暁江中将が総政治部副主任に転任したことだ。

 これらの人事異動は胡錦涛が主導する各大軍区1級人事配置がすでに完了したことを示す。胡錦涛氏はすでに軍隊での権利を固めたと言える。

 上海派閥メンバーは厳しい判決を下されて入獄

 一方、元上海市委員会書記陳良宇が逮捕されたきっかけとなる上海社会保障事件は最近裁判が始まり、上海派閥の成員は次々と厳しい判決を下され入獄した。

 その中に、陳良宇の前秘書・秦裕、上海工業投資グループ会社の総裁・王国雄、新黄浦グループ元理事長・呉明烈、元上海電気グループ会社副総裁・韓国璋らが無期懲役。上海社会保障局元局長・祝均一が18年の有期懲役、上海市事務所元主任・孫路と上海市住宅管理局の元土地管理処処長・陽文錦が15年有期懲役を言い渡された。

 情報によると、胡錦涛と温家宝は、党大会の前に急きょ社会保障事件を厳しく処分したことは敵対勢力に警告となり、前党首・江沢民の勢力をたたき、その権勢を全面的に排除したことを意味する。

 免職される可能性が高い曾慶紅

 江沢民前政権と胡錦涛政権の間で、政治局常務委員の曾慶紅の動きが外部の関心の焦点となっている。

 ロイター通信と香港「明報」によると今年3月に上海市委員会書記に就任した習近平は政治局常務委員に栄転し、曾慶紅の書記処書記の職務を引き継ぐ。習近平は積極的に中央紀律検査委員会に協力して江沢民勢力の腐敗事件を追求したことで胡錦涛政権の信頼を得た。それ以外に、胡錦涛派の、遼寧省委員会書記・李克強も政治局常務委員に栄転する。そして来年の人民代表大会の時にすでに亡くなった黄菊を引き継ぎ、国務院の第1副総理を担当する。ロイター通信の報道によると、習近平、李克強は5年後にそれぞれ胡温政権を引き継ぐ可能性が高いという。

 太子党出身の曾慶紅氏は策略に優れ、かつて89年の天安門事件の武力鎮圧により党首に昇進した江沢民の権力強化に尽力したことから、江沢民派の総支配人と言われた。去年から江沢民が次第に権勢を失った頃、野心満々な曾慶紅は江氏、胡氏の間で策略を練り、胡錦涛と分権を試みた。胡錦涛政権は曾慶紅の部下を整理し、同時に曾慶紅に強烈な世論攻勢を展開した。ロイター通信と香港「明報」の最新ニュースによると、胡政権は最後に曾慶紅の引退を強要する可能性が高いと指摘した。

 曾慶紅の年齢詐称が発覚

 十五大党大会で江沢民と曾慶紅は、70歳が任期上限のラインとなる理由で89年天安門事件で虐殺された学生らと趙紫陽に同情する喬石の引退を強要した。 今回「70歳の任期上限ライン」は曾慶紅氏自身に適用された。最近、署名して「劉不仁」の中国共産党内の秀才は「曾慶紅政府履歴の隠し事」の文章を発表し、海外のウェブサイトで発表し、曾慶紅の年齢詐称が明らかになった。

 文章によると、曾慶紅の父・曾山がかつて曾氏一族のいとこに、曾慶紅は1937年8月29日に安徽省渓県丁家村に生まれ、あだ名は「丁児」と話したことがある。しかし、新華ネット上の曾慶紅の政府履歴を見てみれば、 曾慶紅が1939年7月に生まれと書いてある、父親・曾山の記憶と比べると、2年の差がある。もし1937年生まれで計算すれば、曾慶紅は、今年の党大会前にすでに70歳を過ぎているという。

 ある評論によると、党内極秘資料を見ることができるものでなければ、この事実を摘発することができないし、これら極秘の書類を手にすることができるのは、中国共産党中央弁公庁が管轄する中央書類保存館と国家書類局の関係者しかいないと指摘している。

 江沢民、曾慶紅の部下は胡錦涛政権に投降

 黄菊の病死、陳良宇の逮捕、さらに大量の上海派閥メンバーが入獄され、江沢民と曾慶紅の部下は江勢力の弱体に気がつき、次から次へと胡錦涛へ投降し、野心満々の曾慶紅を大いに挫折させたことも、曾慶紅の引退理由の一つと言える。

 例えば、中国共産党中央弁公庁(以下:中弁)主任・王剛が自主的に胡錦涛へ投降。1994年に曾慶紅が中弁主任の時に王剛を抜擢して、副主任に就かせた。1999年、曾慶紅が中央組織部長に就任した後に、王剛を中弁主任に昇進させた。王剛は曾慶紅の最も信頼する身内の一人だった。

 しかし、中央紀律検査委員会が黄菊の秘書・王維を捕まえ、そして「715」の特別査問グループを設立し、江沢民系メンバーがターゲットになった際、王剛は胡錦涛に投降を決めたという。

 香港誌「動向」によると、今年8月以来、王剛は胡錦涛に何度も進言した。内容は自分が今年10月に満65歳になる。年齢はすでに上限ラインになったので。中央弁公室主任に適任ではないし、十七大で政治局員や常務委員になることはふさわしくないことから、胡錦涛の身内・令計画が中弁主任の職を引き継ぐように提案したという。

 胡錦涛は王剛の提案を受け入れ、令計画を中弁主任に任命した。令計画は1999年末から胡錦涛事務室の主任を勤め、胡の右腕のような存在と見なされている。

 もと中弁主任・王剛の引退および江沢民の部下、中央警備局長・由喜貴の失脚、江沢民と曾慶紅に致命的な打撃を与えた。

 江沢民系勢力がまだコントロールできるのは周永康の公安部しかない、しかし周永康がいくら必死に公安部を守ろうとしても、今の流れからすると 胡錦涛勢力に引き渡すのは時間の問題と見られる。

 
(翻訳/編集・侍傑)
 

(07/10/05 09:23)



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