警官が拳銃を奪われ、発砲された現場付近を検証する福岡県警田川署員ら。容疑者が乗ってきたと見られる車が自販機の近くにあった=5日午前9時、同県田川市猪国

警官が拳銃を奪われ、発砲された現場付近を検証する福岡県警田川署員ら。容疑者が乗ってきたと見られる車が自販機の近くにあった=5日午前9時、同県田川市猪国

 5日午前4時20分ごろ、福岡県田川市猪国で「自販機が荒らされている」と、警備会社から田川署に通報があった。同署川崎交番(川崎町)から男性巡査部長(29)ら警察官3人が現場で向かったが、不審な2人組の男を逮捕しようとして1人の男ともみあいになった。男は巡査部長の拳銃を奪い発砲、巡査部長は尻を一発撃ち抜かれて重傷を負った。2人はその場で、強盗致傷と公務執行妨害の現行犯として逮捕された。

 逮捕されたのは、田川市奈良、無職小田誠道(21)と、同県嘉麻市上山田、指定暴力団太州会組員浦中旭(29)の両容疑者。2人は同時刻ごろ、道路脇に設置してあった雑誌の自販機をバールでこじ開け、売上金を奪おうとしていたという。

 巡査部長ら3人は、自販機の近くで車に乗っていた両容疑者を発見。職務質問をするため運転席にいた浦中容疑者、助手席にいた小田容疑者を車の外に出させた。その直後、浦中容疑者が逃走したため、1人の警察官が追跡。巡査部長ら2人は小田容疑者を逮捕しようとしたが、激しく抵抗されてもみ合いになった。小田容疑者は、巡査部長が腰に装着していた回転式拳銃を手にして、巡査部長に向けて発砲した。拳銃はひもでベルトにつないでいたが、安全装置はついていなかった。浦中容疑者は、現場から約50メートル離れたところで取り押さえられた。

 田川署の登尾光行副署長は「警官が撃たれたけれども、職務上問題はなかった」と話している。

 現場は、田川市と嘉麻市の市境に隣接する国道322号沿い。


=2007/10/05付 西日本新聞夕刊=