サイエンス

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録 Yahoo!ブックマークに登録
この記事を印刷
印刷

都立病院:未収金が10年で倍増、05年度は13億円突破

都立病院の個人未収金推移
都立病院の個人未収金推移

 東京都立病院で医療費が支払われないまま1年以上経過した未収金が、ここ10年で倍増し05年度は13億円を突破していたことが分かった。06年度は未収金請求時効が短くなったため9億円台に減少したものの、税金で穴埋めする欠損処理は逆に5億3700万円(前年度比約3億5000万円増)と増加した。医療費の自己負担割合のアップや支払い能力のない人の増加が原因とみられる。都病院経営本部は今年度内に対応マニュアルを作成し、支払いの厳格化と未収金の回収強化を図る。

 同本部によると、医療費の未収金は98年度の6億2496万円から増加傾向だったが、05年度は13億850万円になった。06年度は9億2765万円と減少したが、これは、同年度から公立病院の未払い医療費の請求権消滅の時効を5年から民間並みの3年にする運用の変更が行われ、欠損処理額が約3億5000万円増えたためで、高い水準には変わりない。

 06年度の都立病院数は11で、1病院当たりの未収金の平均は8433万円。全国の病院の約6割が加入する「四病院団体協議会」の調査では、04年度の公的病院1施設当たりの平均未収金は1917万円で、都立病院は4倍以上に当たる。

 同本部は原因の分析を進めているが、医療費の自己負担割合のアップの影響が大きいと推測している。70歳以上の老人が01年1月に1割負担となり、03年4月からはサラリーマンも2割から3割に上がり、支払い負担が増えた。専門の総合救急診療科を置く病院で未収金が多くなる傾向があり、保険証を持たずに救急治療を受けた患者が治療費を支払わないケースもあるという。さらに、退院直前に病院を抜け出すなどモラルの低下もみられるという。

 同本部は徴税ノウハウを持つ主税局とも協力し、04~06年度に約6000万円を回収したが、協力が今年度で打ち切られることなどから、独自の対応マニュアルを作る予定。高額医療費の窓口での支払いが少なくて済む制度を紹介したり、分割払いを勧め、早めの督促で未収金の発生を防ぐ。

 医療費の未収金は全国の病院で問題化しており、厚生労働省は今年6月に医療団体や保険運営者の代表、学識経験者を集めた検討会を設置している。【木村健二】

毎日新聞 2007年10月5日 15時00分

サイエンス アーカイブ一覧

  • 円天 相談の半数は高齢者
  • 化学物質影響10万人調査へ
  • 皇居周辺250mに冷却効果
  • ク爆弾、セルビア廃棄へ
  • 長井さん、8日に社葬
  • 真珠とダイヤの五弦琵琶

ニュースセレクトトップ

エンターテインメントトップ

ライフスタイルトップ

 

おすすめ情報