2007年10月05日 更新

エジプト戦招集見送りも…オシム監督が過密日程の浦和に配慮

アシマ夫人(左)とともに再来日したオシム監督(右)。浦和勢への配慮を明言した(撮影・塩浦孝明)

アシマ夫人(左)とともに再来日したオシム監督(右)。浦和勢への配慮を明言した(撮影・塩浦孝明)

 日本代表のイビチャ・オシム監督(66)が4日、休養とビザ更新を兼ねて滞在していた欧州から成田空港着の航空機で再来日した。17日のエジプト戦(長居ス)について、同監督はアジアCLで過密日程となっている浦和勢への配慮を明言。招集を見送る可能性が出てきた。欧州組、U−22組も招集しない考えを示すなど、オシム・ジャパンは異例の譲歩姿勢で年内最終戦を戦う。

 里帰りの効果か、ピリピリ感は少しもなかった。愛妻アシマさんと再来日したオシム監督は上機嫌な笑みを浮かべ、「浦和」の二文字を自ら切り出した。

 「浦和はアジアCL決勝進出のチャンスが出てきた。こちらもできるだけ手を貸してあげたい。浦和の選手を呼ばないという形の援助も考えられなくはない」

 24日にACL準決勝第2戦を控える浦和。Jリーグと並行する過密日程に、クラブは8日にも始まるとされた代表合宿参加を遅らせることを求めていた。しかしオシム監督は「代表より強豪クラブが優先されるのは世界のサッカーのトレンド。その波が日本にやってきた」。常にクラブと“綱引き”をしてきた人物らしからぬ発言だった。

 エジプト戦自体の回避か、合流期間の短縮かは、5日にも決まるがDF闘莉王、MF鈴木ら代表の主力を抱えるだけに、影響は大きい。それでも「浦和がアジア王者になれば、クラブW杯の楽しみも与える。1クラブの問題にとどまらない。日本の全員がアジア制覇を望んでいるでしょう」。浦和の経験が日本代表の強化にもつながると考えている。

 さらに欧州組、U−22代表組も招集しない考えを明かし、「監督は同じメンバーでいくのが一番楽だが、それは不可能。何人かにチャンスを与える」と9月のオーストリア遠征メンバー以外の国内組招集を示唆。年内最終戦を、来年2月開幕のW杯アジア3次予選に向けた“最終テスト”と見定めている。

 「代表も同様に重要。いい解決策を見つけたい」。浦和にとっては、決勝進出が至上命題!? 異例の全面譲歩で、オシム・ジャパンはさらなる進化を追い求める。

(志田健)

◆オシム監督の発言について浦和・中村GM

「まだ直接聞いていないが、協会に要望してきたことなので、非常にうれしい。日本の代表として、ACLを戦っているわけだし、オシムさんが理解してくれたのでは」

★早速会議

 この日は千葉県内の自宅に直接戻ったオシム監督だが、5日は早速、スタッフ会議を行う予定。各世代の監督が集うナショナルコーチングスタッフ会議の前に開く予定で、17日のエジプト戦のメンバー選考、浦和勢を含めた合宿日程の検討が行われる模様。また日本協会関係者によると、代表発表は8日、合宿開始は早くて9日になるという。

■オシム節

 ★エジプトについて 「日本ではあまり有名ではないが強い。アフリカ王者に何度もなってます。どれだけの試合ができるかで、日本の実力が世界のどの位置にあるかイメージを持てる」
 ★欧州での過ごし方 「知人や友人を訪ね、自分で車を運転して長い距離を走りました。試合も何試合か見て、欧州のサッカーがどれだけ進歩しているか見てきましたよ。知り合いの監督は(UEFA杯)サラエボ−バーゼル戦で中田浩二をチェックしました」
 ★8日開幕の南アW杯アジア1次予選 「サッカー協会に何十人ものスタッフがいれば全試合に派遣できるが…。(3次予選の対戦相手は)11月25日に決まる。その時点で考えたい」