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中3逮捕に学校ビビる「指導のつもりが」
愛知県碧南市の市立中学3年の男子生徒(15)が、男性教諭(52)にけがをさせたとして、傷害の疑いで碧南署に逮捕されていたことが2日、分かった。学校側が「注意の限界を超えている」と被害届を提出。同署は傷害の事実を動かせないとして逮捕したが、学校側は「警察に指導してもらうつもりだった。まさか逮捕されるとは」と驚いている。
調べでは、男子生徒は9月25日、昼の学内一斉清掃の時間に、仲間3人と持ち場ではない柔剣道場で大騒ぎした。(1)上履きのまま入り(2)粉洗剤をまいて(3)バケツで水をぶちまけ(4)チャンバラ遊びをして竹刀を散らかし(5)自転車で走り回ったという。
騒ぎを知った剣道部顧問の教諭が翌26日、生徒を1人ずつ職員室に呼び、「神聖な場所を汚したのだから掃除せい」と怒ると、逆に生徒は「洗剤はまいてない。なんでいつもオレばかり怒られるんだ」と憤慨。教諭の顔を左手でつかんで、そのまま後方のスチール製本棚の角に後頭部をぶつけ、全治5日の軽傷(裂傷)を負わせたという。
学校側は26日夕、「注意の限界を超えた。お願いします」と碧南署に被害届を提出。受理した同署は、傷害の事実が認められたとして29日、生徒の逮捕に踏み切った。生徒は現在、少年鑑別所に収容され、10月下旬に少年院送致の審理を受ける。
生徒はバスケットボール部の中心選手だった。市内大会優勝に貢献したが、7月下旬の西三河大会2回戦で敗れ、部を引退。目標を失い、夏休み中に不良グループと仲良くなった。9月になって毎日遅刻し、授業妨害するなどの問題行動をたびたび起こしていた。
しかし、逮捕に驚いたのは学校側だった。「過去に通報して注意だけで終わった例があったので、そのつもりだった。逮捕されるとは思わなかった。鑑別所に少年院送致を見送る嘆願書を提出したい」(犬塚文三教頭)。市教育委員会の指導を受け、今後、生徒が戻って来たときに、希望する定時制高校進学などの進路を決められる環境づくりを検討したいとしている。
早まった被害届提出について、教育評論家の尾木直樹氏は「部活動引退後の生徒を指導できなかった学校側を教育委員会が処分しなければ、生徒が逮捕されたことを考えれば公平性に欠けるのではないか」と話している。
[2007年10月3日8時2分 紙面から]
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