教科書検定 沖縄条項新設に消極的
【東京】渡海紀三朗文部科学相は四日の衆院本会議で、教科書検定基準で沖縄戦に関する記述に配慮する「沖縄条項」を新設することについて、「東京の大空襲や広島、長崎の原爆もあった」として、国内特定地域の「条項」を作ることに消極的な姿勢を示した。同日から参院でも本会議で代表質問が始まり、国会論戦が本格化。自民を除く、与野党五党が沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題を取り上げた。
「沖縄条項」は一九八二年、教科書検定基準に設けられた、アジア諸国の近現代史の記述に配慮する「近隣諸国条項」の沖縄版。沖縄戦「集団自決」への日本軍強制の削除を教科書検定で繰り返さないための「担保」として設けるべきだとの意見が県内などにある。
渡海文科相は「沖縄条項」について、「先の戦争では多くの国民が犠牲になった。特定の地域のみに作るということはいろいろと課題もある。慎重に今後検討することが必要だ」と述べた。
同検定については「軍の関与を否定しているというものではない」と強調。その上で「検定合格後の教科書の中には『日本軍の配った手りゅう弾で集団自決と殺し合いが起こった』との記述がある教科書もある」と例示し、「強制」よりも弱い「関与」程度の記述であれば、検定で問題にならないとの見解も示した。
検定意見の撤回については、「時の政権の意向で検定が左右されることはあってはならない。政治介入にならないよう、どのような対応が可能か検討している」と、自らが介入できる問題ではないとの見解をあらためて示した。照屋寛徳氏(社民)への答弁。
一方で、出版社の訂正申請について、渡海文科相は「真摯に受け止め、適切に対処したい。専門的見地から再度、教科書検定審議会の意見を聞くことになる」との見通しを重ねて示した。太田昭宏公明党代表への答弁。
この日は照屋氏、太田氏のほか、参院本会議で民主党の輿石東氏、衆院本会議で共産党の志位和夫委員長、会派「国民新党・そうぞう・無所属の会」の下地幹郎代表も、教科書検定問題について質問した。
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