かかりつけ医がいない奈良県の妊婦が医療機関に受け入れを相次いで断られ死産した問題に関連し、県内でも平成18年の1年間に少なくとも61人の妊婦が未検診のまま救急搬送で出産していたことが4日、県の調査で分かった。死産などの事故はなかったが、県は妊婦の救急受け入れが全国的な問題となっていることを受け、年内に消防と医療機関の実務者レベルによる会合を開き、対応を協議していく方針。 県こども家庭室によると、調査は9月に産科を扱う県内の30病院すべてを対象に行い、23病院から回答を得た。未検診の61人は全員が救急車を使用した。救急搬送に要した時間や拒否された病院があるかどうかは調査中だが、回答のない病院もあるため、実数はもっと多い可能性もあるという。 同室は「妊婦が検診を受けずに出産した場合は、子供の死亡率が高いなどリスクが大きい。関係機関と連携し、妊婦の検診の啓発にも力を入れたい」としている。一方、県防災局消防室が9月に県内27消防本部を対象に実施した救急搬送調査では、16年―18年の3年間の妊婦の救急搬送計2636件のうち、1回以上受け入れを断られたケースは62件あった。5回以上断られたケースも2件あり、このうち1件は病院に受け入れられるまで1時間54分も要した。 |