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【静岡】県内の「飛び込み出産」 昨年は61人 04年から3年間で受け入れ拒否は62件2007年10月5日 妊娠中に医療機関で一度も受診しないまま、救急車で搬送されて出産する「飛び込み出産」が、静岡県内で2006年に61人いたことが、県厚生部の調べで分かった。医療機関から受け入れを拒否されたケースは、04年からの3年間で62件あった。 かかりつけ医がいないと出産リスクが大幅に高まるため、医療機関が受け入れをためらう傾向があり、県こども家庭室は「母子の命を守るため、妊娠段階で受診してほしい」と話している。 奈良県で8月、妊婦が救急車で搬送中に医療機関からの受け入れを拒否され死産した問題を受け、静岡県は産科のある県内30病院に対し実態調査を実施、23病院が回答した。 その結果、61人が産科病院や診療所、助産所で一度も受診せず、出産が迫って救急車で搬送され、出産していた。 妊婦の健診は健康保険の適用外で、原則として全額が自己負担となるため、経済的理由から受診しない例もあるとみられる。 現在、県内の各市町は2回の無料健診を実施しており、国は08年度から最低5回に増やす方針を示している。 県は「未受診の場合、受診した妊婦に比べ、死産や出生直後の新生児の死亡が約25倍になるとの研究結果がある。危険性を広く周知していきたい」と話した。 一方、県消防室が県内の27消防本部を対象に実施した調査によると、04−06年で妊婦の救急搬送は2636件。うち62件が医療機関から1回以上受け入れを拒否されていた。理由は産科医の不在や多忙、ベッドが満床など。搬送中に容体が悪化したケースはなかった。 菊川市消防本部では06年に20代女性を搬送中、菊川市と周辺の4病院から延べ7回の受け入れ拒否や、回答保留を受けたケースがあった。市消防本部は「菊川市のような小さな市には総合病院が一つしかなく、かかりつけ医に受診していないと救急で受け入れてもらえないのが現状。病院との連携システムを確立していく必要がある」と話した。 県は今後、医療機関と救急との連携強化を目指し、担当者レベルの協議を重ねる方針。
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