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保育料の柔軟化検討 規制改革会議、企業参入促す

2007年10月03日07時06分

 認可保育所に入れない「待機児童」問題を解消するため、政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は、保育所制度の見直しを検討する方針を固めた。施設側が料金やサービスを柔軟に定められるようにし、利用希望者と保育施設が直接入所について契約できるようにして民間企業の参入を促す狙いだ。5日に再開する同会議で議論に入り、年末の最終答申に反映させる。ただ、こうした自由化の流れに対し、政府内には「福祉の視点が失われる」との慎重論もある。

 厚生労働省によると、今春時点で待機児童は約1万8000人。職を探している母親や、入所させられずに仕事をあきらめた母親の子供など「隠れた待機児童」も多く、潜在需要は数十万人にのぼるとされる。無認可の保育所が一定の受け皿になっているが、それでも不足している状態だ。

 認可保育所の入所を希望する人は市区町村に届け出て、家族構成や親の勤務状況などによって、自治体側が受け入れについて判断している。

 00年の規制緩和で民間企業の参入が認められたが、公的補助の条件や利用料の制約などのため、サービスについて創意工夫しにくい。自治体側が児童を割り当てるため、施設側の営業努力の意欲をそぐ形にもなっている。

 規制改革会議は再開後の会合で、認可保育所の位置づけを、現在の「家庭での保育に欠ける児童への福祉施設」(児童福祉法)から、「保育が必要な児童にサービスを提供する施設」に変えられないか検討する。

 現在は地方自治体に届ける入所申し込みを、施設との直接契約に変えたり、施設側が料金やサービス内容を柔軟に定めたりできる仕組みを探る。

 こうすることで、例えば病気の児童でも受け入れ可能な設備や職員配置の態勢をとる一方、保育料金を高めに設定するような保育所を増やすことも可能になる。民間企業の参入を促し、利用者の需要に柔軟に応じられるとしている。

 一方、施設によって保育料が高く設定されたり、入所契約の自由化が進んだりすれば、低所得家庭の子どもや障害児、虐待児童が排除される懸念もある。このため厚労省は「福祉の視点が失われるのではないか」として慎重だ。利用者と保育施設との直接契約の検討は、今年6月に閣議決定した「規制改革推進のための3カ年計画」に盛られたが、同省は「長期的な検討課題」と位置づける。

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