学童クラブに運営指針/県が策定
県青少年・児童家庭課はこのほど、学童クラブの望ましい在り方を定めた「県放課後児童クラブ運営ガイドライン」を策定した。クラブの規模はおおむね児童四十人程度最大七十人までとし、学童保育の質を保持するため市町村は年一回の実地調査に努めるよう、明記した。一方、県内の入所児童の約二割を占める幼稚園児の扱いについては触れなかった。
県内の学童クラブは二〇〇七年五月現在、二百二十八カ所(児童九千十九人)。うち開所日数不足や入所児童が少ないなどの理由で公費補助を受けていないのは四十九カ所。
ガイドラインは学童クラブを「望ましい方向に誘導していくための現実的なあり方」として作成。最低基準などの強制力はないものの、学童保育の質の向上が狙い。
対象児童は、原則として保護者が昼間家庭にいない小学校一―三年の児童とした。そのほか、小学校四年生以上など「健全育成上指導を要する児童」も加えることができるとした。
望ましい施設の在り方として、小学校の空き教室や小学校敷地内の専用施設、児童館、保育所や団地の集会所などを活用。面積は児童一人当たり一・六五平方メートル(一畳分)で、規模はおおむね児童四十人程度(一クラブ当たり最大七十人)。
努力目標である施設基準には、二カ所の出入り口、男女別トイレ、職員室・更衣室、休養スペースなどの確保を挙げた。
職員配置は「児童二十人未満で二人以上、児童二十人以上で三人以上」とし、職員体制は常勤指導員を複数配置することを定めた。常勤指導員は保育士、教諭、児童指導員などの有資格者が望ましいとした。
同課はガイドライン策定に合わせこのほど学童クラブの実態調査を初めて実施。年内にまとめる予定だ。
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「指針の基準達成を」/県学保連
県学童保育連絡協議会は三日県庁を訪れ、県放課後児童クラブ運営ガイドラインの運用で基準に達することができるよう、五項目について市町村へ改善などの働き掛けを要請した。
要請内容は(1)学童クラブの機能・役割や施設基準・職員配置などの実態調査と改善指導(2)対象児童の高学年が追い出されないよう市町村へ周知(3)児童四十人以上の学童保育所の分離・増設を推進(4)幼稚園児保育の抜本的な対策を実施し、それまでは幼稚園児も学童保育対象とする(5)県の設置・運営基準の策定―の五項目。
同協議会の知念聡会長は「ガイドラインは、学童保育の望ましい姿を具体的に示しており、評価できる」と説明。ただ、学童クラブの公立設置が85%を占める他県と異なり、ほとんどが民営の県内では学童クラブの多くが厳しい経営状況にあると指摘。「施設基準などガイドラインの基準は、ほとんどの県内の学童保育所の現状と懸け離れている。実効性あるものにするためにも、定期的なチェックや公的支援が必要」と述べた。
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