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肺がん発見率9割 血液検査で精度3倍 東大医科研

2007年10月04日

 血液検査で肺がんを高精度で見つける新たな腫瘍(しゅよう)マーカーの組みあわせを、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの醍醐弥太郎・准教授らが開発した。発見率は約9割で、いま診療で主に使われている3種類に比べて1.5〜3倍高いという。また、手術後の経過を予測する組織検査の組み合わせも考案しており、肺がんの早期発見や術後の治療法選択に役立ちそうだ。横浜市で開かれている日本癌学会総会で5日、発表する。

 肺がんで死亡する人は年に5万人を超え、がんによる死亡で最も多い。早期発見が難しく、発見時にはすでに悪化していて手術不可能な例の多いことが一因という。

 醍醐准教授らのグループは、肺がん細胞で特異的に作られるたんぱく質で、血中に分泌されているものを複数見つけた。このうち二つと、肺がんの指標として従前からあるCEAというマーカーを加えた三つの組み合わせで、肺がん患者と健康な人の血清を対象に検出精度を確かめた。

 その結果、肺がんの8割余りを占める非小細胞肺がんの場合、89.1%の感度で検出できることが分かった。小細胞肺がんの場合も、別の三つのマーカーの組み合わせによる血液検査で87.5%の検出率だった。

 さらにグループは、肺がんは同じ早期で手術をしても、経過に差があることに着目。術後5年以上追跡している約400人の患者の肺がん組織を分析し、特定のたんぱく質三つがいくつ検出されるかで、「5年後の生存率が8割程度」と経過の良い場合から、「生存率2割程度」と悪い場合まで4段階で判別できる方法を開発した。経過が予測できれば、抗がん剤などの治療方法や開始時期の選択に役立つ。

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