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社説:秋大医学部定員増 卒業生の県内定着課題

 秋田大医学部医学科の入学定員が来年度から10人増員されることになった。従来の県内高校生を対象とした推薦枠(5人)に加え、新たに県地域枠などが設定された。増員措置は当面10年間の予定だが、県内高校生にとっては朗報だ。昨今の深刻な医師不足がすぐに解消されるものではないが、本県の将来にとって明るい材料といえる。

 今回の定員増は、昨年8月に政府が定めた新医師確保総合対策に基づいた措置。地方の医師不足解消を図るため、不足が深刻な10県と自治医大に限って医学部の定員増を認めたのだ。

 秋田大の定員増の内訳は、県内高校生対象の「県地域枠」5人と、県外出身高校生を対象とした「全国地域枠」5人。いずれも大学卒業後、県内病院での勤務を前提としている。

 県内高校生にとっては、これまでの推薦枠5人と合わせて計10人の枠が確保されるわけで、積極的にチャレンジしてもらいたい。また全国地域枠も含めると、順調なら毎年15人が県内にとどまる計算になり、長期的にみれば本県の医師不足解消につながることが期待される。

 政府は秋田大など11大学の定員増とは別に、大学医学部の入学定員を各都府県で最大5人、北海道で最大15人増やす方針を固めている。これらを合わせると1年に最大245人の増員となる。当面10年間の“暫定措置”とはいえ、長い間、「医師は過剰になる」として医学部の定員削減を進めてきた国が、医師供給増へ大きく方針転換したといえる。

 医学部の定員削減は、昭和61年、厚生省(当時)の検討委員会がまとめた見解が起点となった。平成7年をめどに医師の10%削減目標が掲げられ、その後、全国の主要医学部の定員が減らされてきたのである。

 そもそも、医師が過剰になるという政府の判断はどこから導かれたものなのか。結論から言えば、医師が増えると国民医療費が増加するとして、医師数を抑制しようとしたのである。そこに見えるのは、医療をどのような方向に持っていこうかという視点より、医療費抑制優先の姿勢である。それがどんな結果を招いたのか。昨今の医師不足の現状をみれば、大きな誤りだったことは明白だ。

 高齢化の進展、医療の高度化や専門・細分化などにより、医師の需要は今後さらに増すことが確実だ。ちなみに、2006年のOECD(経済協力開発機構)加盟30カ国の人口1000人当たりの医師数をみると、日本は2・0人と下から4番目。OECD平均の3・0人を下回り、先進諸国では最悪の状況にあることを認識すべきだ。

 今回の定員増で秋田大医学部医学科の定員は110人(うち5人は編入枠)となった。定員が増えれば、各種教材整備や病院内実習・解剖実習、少人数指導などの面で学部側の負担はかなり増すとみられるが、本県の地域医療を支える人材の育成に努めてもらいたい。そのためには、まず地域医療の重要性や果たす役割をしっかり学んでもらうためのプログラムが欠かせない。地域枠に限らず、一人でも多くの卒業生の県内定着を促す努力が大学に求められる。

(2007/10/04 09:13 更新)

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