天皇家第2の宗廟(そうびょう)で全国4万社の総本宮・宇佐神宮(池永公比古(きみひこ)宮司、宇佐市南宇佐)のナンバー2である権宮司に、名誉宮司・到津(いとうづ)公齋(きみなり)氏(69)の長女克子(よしこ)さん(39)が1日付で決まった。約1300年の歴史をもつ同神宮で初の女性権宮司が誕生した。【大漉実知朗】
克子さんは91年に国学院大文学部を卒業後、東京で商社勤めなどをしていたが、同大神道学専攻科に再入学。卒業後、祝詞の上げ方など神社祭式の実習をし05年4月1日、女性禰宜(ねぎ)としては13世紀(鎌倉時代)初めの常子(つねこ)禰宜以来、約700年ぶりに同神宮ナンバー3の禰宜になった。公齋氏には跡継ぎの長男(克子さんの弟)がいたが、90年に交通事故で死亡したため、克子さんが禰宜の後、今回権宮司になった。克子さんは「身に余る光栄。大きな責任を感じます」と話した。
宇佐神宮の宮司は南北朝時代(1336~92年)から到津家と宮成家(既に廃家)が代々務め、戦後は到津家が単独で世襲。公齋氏で78代目だったが、公齋氏が病弱なため同神宮の祖宮といわれる薦(こも)神社(中津市)の宮司を兼務する形で池永氏が06年5月、79代目として就任した。
宇佐神宮宮司はこれまで男性が継承。池永宮司は暫定的な役割とみられ、将来、初の女性宮司が誕生するかが注目される。
毎日新聞 2007年10月4日