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【暮らし】

消費者金融 『クレディア』再生手続き 過払い金請求可能な人も

2007年10月4日

 東証一部上場の中堅消費者金融会社「クレディア」(本社静岡市)が先月十四日に東京地裁に民事再生法の開始を申請して事実上倒産したことが波紋を広げている。消費者金融の利用者は通常は「債務者」だが、クレディアの再生手続きの中では利用者の一万人以上が「過払い金」を請求できる「債権者」になる可能性がある。消費者金融会社の倒産劇は今後も続きそうで、過払い金の債権者がどう扱われるのか注目を集めている。 (白井康彦)

 JR静岡駅南口から南に約百メートル歩くとクレディアの本社ビル、さらに約二百メートル歩くと静岡県司法書士会館に着く。会館では司法書士らがクレディアのローン利用者を対象に先月十六日から無料電話相談を続けている。司法書士らは「こんなに相談件数が多い事案は初めて」と話す。相談件数は既に千六百を超えた。

 司法書士らが説明の中で、しばしば発するのが「あなたは『過払い』かもしれませんよ」という言葉だ。過払いであれば、再生手続きの中で債権者になることができる。

 クレディアを含む消費者金融会社のほとんどは、顧客にグレーゾーン金利で貸してきた。出資法の上限金利(年29・2%)以下ではあるものの利息制限法の上限金利(年15−20%)は上回る金利帯だ。出資法の上限金利を上回る金利で貸すと刑事罰の対象。利息制限法の上限金利を超す金利で貸すと、超過部分の利息は民事上無効とされる。

 貸金業法には一定の要件を満たせばグレーゾーン金利が有効とみなされる規定があるが、裁判所が年々、要件を厳格に解釈するようになり、今では法律家が債務整理すると、ほとんどの場合はグレーゾーン金利は無効になる。

 取引履歴の書類を消費者金融から取り寄せ、利息制限法の上限金利で借りたことにして借入残高を再計算。マイナスになったら、その金額が払い過ぎた過払い金だ。

 静岡県の司法書士らは「クレディアと六、七年以上取引を続けている人は大半が過払いの状態。グレーゾーン金利で計算された残高を完済した人もほぼ間違いなく過払い」と説明する。消費者金融の過払い金は普通は数十万円ぐらいだ。

      ◇

 クレディアの再生手続きでは、債権者は十一月二十六日までに届け出る必要がある。ただ、対象者に通知されるわけではない。クレディアは「そこまでできるシステムになっていない」(経営戦略室)と説明する。そのため、過払い金の債権者になれるのに気付かない人が出そうだ。

 それを防ごうと、全国クレジット・サラ金問題対策協議会の呼びかけで多重債務者救済運動に取り組む各地の団体が今月六−八日を中心に「クレディア一一〇番」を行う。クレディアの利用者の大半は多重債務者やその予備軍。過払い金が請求できない場合でも破産や任意整理などの債務整理で生活再建の道が開ける。一一〇番ではそうしたアドバイスも行う。

 クレディアは再生手続きの中で、過払い金の債権を一般の債権に含める方針。これだと、債権者への返済額は大幅にカットされる可能性があるが、同協議会では「カットの対象とならない債権の対象にしてもらえるよう働きかけていきたい」(副代表幹事の新里宏二弁護士)と強調している。

 同協議会では、過払い金の債権の届け出をする人が一万人以上に上る可能性があると判断している。

      ◇

 中部、関東地方の主な無料相談電話、一一〇番の日時、受付電話番号は次の通り。

 静岡県司法書士会=当面は平日に毎日実施、午後二時−五時。六日は午前十時−午後五時。054・289・3704▽クレディア対策弁護団愛知=十日午前十時−午後四時、十一日以後は午後六−八時、052・203・1773▽長野県司法書士会=七日午前十時−午後四時、026・232・7492▽東京クレジット・サラ金問題研究会=八日午前十時−午後五時、03・3575・4300▽神奈川県司法書士会=七日午前十時−午後四時、045・212・9915▽千葉県多重債務問題対策会議=八日午前十時−午後四時、043・225・6040(千葉市)、047・362・5578(松戸市)▽栃木県弁護士会=六日午後一−五時、028・622・2008

 

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