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部屋での事情聴取を終え、力士の先導で車へ向かう(左から)武蔵川親方、伊勢ノ海親方
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大相撲の序ノ口・時太山=ときたいざん=(当時17、本名・斉藤俊さん)が急死した問題で、日本相撲協会からの解雇が必至となっている師匠の時津風親方(57=元小結・双津竜、本名・山本順一)が“延命工作”を図っていることが3日、分かった。時津風親方は5日の緊急理事会で処分を下される予定だが、この日、祐賀子夫人(48)らが複数の理事のもとを訪れ、文書を手渡して弁明。処分に慎重な意見もあり、解雇は愛知県警による立件後となりそうだ。
驚きの行動だった。時津風親方の祐賀子夫人と弁護士、時津風部屋後援会長の3人は午前中に複数の理事の自宅に出向き、今回の問題に対する意見をまとめた「上申書」を手渡した。書面では、協会などに迷惑をかけたことを謝罪した上で、斉藤さんの死亡は稽古中の事故と説明。時津風親方が兄弟子らに「かわいがってやれ」と指示したとする報道や、遺体を引き渡す前に火葬の準備を進めていたという遺族の話は、事実とは異なると主張した。
関係者によると、祐賀子夫人らは「できれば話を直接聞いてほしい」と緊急理事会に時津風親方が出席して事情説明することを要望したという。時津風親方に対する1日の事情聴取後、北の湖理事長は「厳しく処分するのが当然」と解雇の方針を示唆。親方衆の間でも「弟子が1人亡くなった事実は重い」と責任を問う声が噴出しており、緊急理事会での解雇処分は必至とみられている。そこで、夫人らは各理事を直接説得して“延命”を図ろうとしたようだ。
夫人らの行動は緊急理事会の決定に影響を与える可能性もある。関係者は現段階での処分に「向こう(時津風親方)が弁護士を立てて処分に対する反論をしてきたら、今の(協会の事情聴取の)材料だけでは(裁判で勝つのが)難しいかもしれない」と慎重な見方を示した。そのため今回の緊急理事会では解雇より軽い処分の降格にとどめ、愛知県警に立件された場合に解雇処分を下す方向で調整されることになりそうだ。
協会関係者の多くは、時津風親方が騒動の責任を取って辞任することで事態が収束に向かうことを望んでいた。しかし、夫人らの行動を見る限りその意思は全く感じられず“徹底抗戦”の構えすら見せている。責任逃れのような時津風親方の姿勢は厳しく非難されてもおかしくない。
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