ここから本文エリア 精神障害者も働きたい 大阪の精神科医が支援NPO2007年10月02日 働きたくてもなかなか職につけない精神障害者の就労を支援しようと、大阪府の精神科診療所の医師が中心になってNPOを立ち上げ、職業訓練の活動を始めた。患者の診察に当たる医師が就労支援まで手がけるのは全国的にも珍しい。「第一期生」の1人が就職を決め、10月から新たなスタートを切った。
5月に設立されたNPO「大阪精神障害者就労支援ネットワーク」(JSN)。精神科医の田川精二さん(56)が理事長を務める。 田川さんは府内に診療所を開いて27年のベテランで、かつては症状悪化を恐れ、積極的には患者に就職を勧めていなかった。ところが3年前、大阪精神科診療所協会が患者約1千人を対象に雇用状況のアンケートをしたところ、仕事をしているのは14%で、仕事をしていない人の58%が「就職したい」と答えた。そこで、田川さんは府内の医師5人の賛同を得てJSNをつくり、6月に門真市の2階建てビルの1階に訓練施設を開いた。 施設では教材の袋詰めやタオルたたみ、ブーツ用の消臭剤づくりなどの訓練をし、コンビニでの商品補充や新聞販売所でのチラシ整理など現場実習もある。スタッフは8人で医師やケースワーカーとも連絡を取り、実習先や就職先の開拓も担う。障害者自立支援法に基づく就労移行支援事業として助成を受けて人件費を賄い、利用者も1割を負担する仕組みだ。 現在は、20〜40代の男女約30人が通う。府内の男性(44)は学生時代に統合失調症を発症、人間関係や症状の悪化で職を転々とした。「親も高齢で自立したい。ここでは人間関係や仕事の態度などにアドバイスをもらえて心強い」と話す。 10月から家具製造会社で働き始めた同府大東市の男性(32)は「働いて人の役に立ちたい。助けられたり助けたりして生きていきたい」と言う。 ただ、精神障害者の雇用先は限られ、就労の現状は厳しい。06年の報告では、全国で約28万4千人の障害者が企業に雇用されているが、精神障害者は2千人に満たない。 田川さんは「就労で症状が安定する人もいる。今の精神医療を、本人の人生を応援する医療に変えるきっかけにしたい」と話す。JSNでは来春、大阪府茨木市に2カ所目の訓練施設をつくる予定だ。
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