(初掲 2005.7.30 ) (追加 2005.10.30 ) 郵政民営化を実現すべし郵政族議員の主張にだまされるな3.郵政民営化法案成立して郵政族議員沈没2.参議院は何のためにあるのか1.いづれ郵政民営化は避けて通れぬ課題3.郵政民営化法案成立して郵政族議員沈没郵政民営化法案は衆議院を7月5日、5票差ながら賛成多数で成立したが、参議院では8月8日、17票の反対多数で否決され成立しなかった。両院とも与党が多数であるからすんなりと成立するはずであったが、党内に郵政族と呼ばれる郵政法案に反対する集団がおり、これが造反して反対票を投じた結果である。郵政族が守ろうとするのは全国の特定郵便局長の団体である「大樹会」及び郵政関係の26万人の公務員の集票力と財政投融資を通して流れてくる資金の元である郵便貯金や簡易保険事業を現状のまま保持することである。どちらも郵政事業に関係するもので基本的には国民の財産として有効に活用しなければならぬものである。 参議院での法案否決を受けて小泉首相は衆議院を解散し郵政改革への賛否を国民に問うことにした。与党の公明党は解散反対で、自民党の長老の中にも衆議院解散はすべきではないと首相に進言する者がおり、一般社会にも反対の声があった。また、読売新聞では8月6日付けの社説で「目的不明の解散に反対する」と主張した。そのような反対の声を押し切って解散に踏み切った小泉首相の信念と言うか強い精神力に感心する。 衆議院での法案採決に際し反対票を投じた亀井静香、綿貫民輔、平沼赳夫、堀内光雄らの派閥の長老は配下の議員の票を集めて法案を否決すれば、小泉内閣は衆議院を解散することなく退陣して政権交代となり、あわよくば、自分らが政権を勝ち取ることが出来ると目論んだのであろう。また、派閥の小者は長老の言葉を信じそれに従えば政局が変化して、自分らにも明るい日が当たるようになるとを期待して反対にまわったのであろう。 ところが、法案が否決されるや小泉首相は直ちに衆議院を解散し、9月11日投票と決まったので造反者の計画は瓦解するとともに、自分らがとんでもないことをしてしまったことに気が付き震え上がったことであろう。戦国時代なら謀反を起こして失敗したときは首謀者以下同調者全員は死罪である。現代においては政権交代を計画した者は謀反者と同じである。 自民党執行部は選挙に際し反対票を投じたものは自民党の公認候補者とはせず、同じ選挙区に別に自民党公認の候補者を立てた。勿論、これは小泉首相の指示であろう。これに対し、大人気ない処置だとか、刺客を送りつけたとか、また、ただ反対票の一票を投じただけなのに酷い仕打ちだと恨み言を言う者がいたが、これなどは世の中の厳しさをわきまえぬウッカリ者で、国会議員の資格のない者である。 選挙の結果は自民党の圧倒的な勝利で3分の2を超える300議席に近い議席を確保したことで、たとえ、参議院で否決されても法案を成立させることが出来るようになった。そこで、改めて郵政民営化法案を殆ど修正しないで提案した法案は衆議院を通過し、参議院でも賛成多数で成立した。特に、参議院では議員の構成は前回と同じであるから、同じ法案なら再び否決されるはずであるが、前回反対票を投じた自民党議員の殆どが賛成に回った。前回否決したときは、国民の為にならないとか、法案に欠点があるとか、提出の仕方に問題ありとか、言っていたのに、今回は国民の総意に従って賛成したと言うのであるが、そんなことで前回反対した理由は消滅するのだろうか。形勢を見て変節したり国民の総意を感じ取れぬよう者は議員失格であり、辞表を出して有能な議員と交代してもらいたい。 選挙後の自民党の党紀委員会では法案に反対票を投じたり、選挙に際し公認を得られず新たな党を起こした派閥の長老等9人の離党届けを受理せず最も厳しい除名処分とした。この段階で郵政族の有力者が自民党から排除され郵政族の勢力は殆ど消滅した。郵政族の消滅は自民党内の既得権益にしがみつく道路族、厚生族等の動向にも影響が現れ、道路族の態度にも軟化の兆候が現れ、道路特定財源を一般財源に組み入れることが実現する可能性が見えてきたことは財政構造改革の実現が近いことで、結構なことである。 参議院は解散はなく6年間身分が保証されているのであるから、議員は利害や党利党略や派閥の動きに関わらず本当に国のため、国民のためになることを念頭に置いて行動するのが本来の責務である。国民の総意であっても長い目で見た場合や別な視点から見て誤りと判断したら敢然と反対すべきである。それくらいの信念と識見を持たずに派閥の長老に引かれて法案の賛否を決めるような者は参議院議員の資格はない。(2005.10.30) 2.参議院は何のためにあるのか小泉内閣の政治改革の本丸とも言うべき郵政事業改革のための郵政民営化法案が国会で審議され、衆議院では7月5日、5票差の賛成多数で成立したが、参議院では8月8日、17票差で否決され成立しなかった。衆議院でも参議院でも自民党と公明党の与党議員の合計数は過半数をこえており、与党の議員が全員賛成すれば法案は両院ともすんなりと成立するはずであったが、自民党の中に反対票を投じたり、欠席、棄権で法案成立を阻んだ者が出たため成立しなかった。 衆議院本会議の採決では、民主、共産、社民の3党は反対し、それに自民党の37人が反対し大量の造反者が出たが、賛成233票、反対228票の小差で辛うじて成立した。このことから与野党の議員の差が少ない参議院では成立が危ぶまれ、賛成、反対の両陣営は票を取りまとめるために説得、切り崩し工作など熾烈な争いを演じた。衆議院では自民党の亀井、綿貫ら派閥の長の意向が現れたのであるが、参議院でも亀井派の中曽根弘文氏が同派の参院議員の会合で反対を表明したことにより同派の11人の反対が明白になり、その他、旧橋本派で2人、山崎派と無派閥で1人づつなど、反対が優勢になった。その結果は、民主、共産、社民の野党各党の反対に加え、自民党からも反対、欠席・棄権する造反者が出て、賛成108票、反対125票で否決された。 法案否決を受け、小泉首相は同日夕、衆議院を解散した。私は小泉首相の衆議院を解散したことに賛成である。法案は参議院で否決されたのに衆議院を解散するとは理屈に合わないような気がするが、内閣が提出した法案が否決されたことは内閣の信任に関わることであり、信を国民に問うとすれば、参議院は解散出来ないので衆議院を解散する他に方法がない。法案が否決されたら小泉首相が退陣することがあっても、衆議院の解散は出来ないだろうと予想し、甘く見ていた自民党の亀井、綿貫ら派閥の長老は解散の現実に直面して大慌てになった。 そもそも、自民党の選挙公約では郵政民営化の実現が明確に示されており、自民党員はこれを承知で選挙に臨み賛成票を集めて当選したはずである。それが具体的な政策論議から法案成立のための投票という段階に至って反対するとは如何なることか。反対者は法案の不備を言うが、内心は全国の特定郵便局長会の反感を買って彼らの集票力を失いたくないこと、民営化により無くなる郵貯・簡保からの財投関連の金蔓を手放したくないことなど、既得権益の温存を目論むことが郵政族議員の行動の原点にある。中には、郵政民営化には賛成だが小泉首相のやり方が気に入らないと言う者がいるが、いやしくも政治家というならば、対人感情で判断したり行動すべきではなく、純粋に法案を吟味して賛否を判断し、本当に国民のためになる法案の成立に努めるべきである。 自民党執行部は小泉首相の指示を受け、衆議院採決時に反対票を投じた議員は解散後の選挙では公認せず、同じ選挙区に新たに自民党公認の候補者を立てて選挙に臨むことにしたので、亀井会長にしたがって反対票を投じた議員の立場は急転直下最悪となった。世論調査では郵政改革賛成が過半数で改革しなくてもよいは少数である。公認されなければ無所属で立たなければならず、採決では反対しながら選挙では郵政改革賛成と叫ぶことは出来ず、新しく公認された候補者は大きな声で郵政改革を主張するから勝敗は自ずから決まってしまう。この事態をうけて反対票を投じた八代英太氏ら3人は早々と勝算の見通しがないことから見切りをつけ、引退を表明した。八代氏は郵政大臣まで勤めた人で、その人が郵政関連法案の審議に関連して引退を余儀なくされるとは皮肉なことである。 亀井会長は小泉首相の指示により反対票を投じた者は公認せず、その選挙区に新たに自民党公認候補を立てる戦略に強い恐怖心を持ったのであろう。「小泉首相のやり方は血も涙もない非情なものだ」と言うが、こんなことを言う前に自分がやったことを厳しく反省すべきであって、これでは自己責任の認識が弱く政治家としては失格である。郵政改革反対の候補者ばかりでは改革賛成の選挙民が投票する候補者が居なくて困るであろうから改革賛成の候補者を立てるのだと言うのはわかりやすく文句をつけようがない。自分の指示に従って反対票を投じそれが原因で心ならずも引退せざるを得ない者がいるのに、自分は新しく政党を作って選挙に臨むとは呆れた会長で、昔、自分の命と引き換えに城中の兵士を助けてくれと腹を切った備中高松城の城主清水宗治とは比較にならぬ志の低い男で、派閥の会長はおろか、もはや政治家としての資格さえもない。また、反対して公認を取れぬ前議員の中には「たった、1票の反対票を投じただけなのに、こんなに厳しくしなくてもよいのではないか」などと、ぼやく者がいるが、これは1票の重さを認識していない者で、これも同じく政治家失格である。 選挙は9月11日、与党が過半数を取れば小泉首相は再び郵政法案の成立を計ることになると思うが、衆議院を通ったとして参議院に回されたときどうなるのか。郵政改革賛成が国民の声として明確に示されても、前回と同じく参議院で否決と言うのでは参議院は民意を反映しているのか、と言うことになりその存在に大きな疑問符が付く。と言って、参議院で賛成されればそれは当然だと言うことになる。とすれば、参議院は本当に必要な存在なのか?。参議院は本当に存在価値があるのか?。ない方が国民負担も少なくてよいのではないか。議論する時期が来たように思う。 (2005.8.30) 1.いづれ郵政民営化は避けて通れぬ課題今国会で郵政民営化関連法案の審議が衆議院で始められるや、自民党の有力議員と郵政族の強力な抵抗や野党の審議拒否などがあって審議は円滑に進行しなかった。小泉首相のサミット出席の日程もあり、それらの抵抗に対抗して自民党執行部は国会を運営し、委員会採決のあと衆議院での採決を強行した結果、自民党から多くの造反者や欠席者が出て5票差と言う際どい賛成多数で法案が採択され参議院に送られた。 参議院では与野党の議席数が衆議院より接近しており、自民党から18人が反対に回れば法案は否決され廃案になると言う状態にあり、法案成立を図る自民党執行部と否決して廃案に追い込もうとする自民党反対派が、参議院で勢力争いを展開している。小泉首相は法案が否決されれば衆議院を解散して国民の判断に委ねると宣言している。参議院での法案否決で衆議院を解散すると言うのは可笑しな話のようにも思われるが、衆議院にいるボスが参議院の子分を操っている図を考えれば容易に理解出来る。 郵政民営化法案が否決されて衆議院が解散となれば、会期末を控え審議予定の多くの法案が成立せず、国民生活にも影響が出る懸念があり、また、選挙による政治空白が出来ることや自民党の分裂から選挙後の政治が不安定なものになりかねないと言うような理由から法案の否決は避けるべきだとの意見があるが、私はこの意見には賛成できない。色々な理由があっても国民にとってマイナスになることが明らかな法案なら否決すべきであり、プラスになる法案は成立させるべきである。良識の府とも呼ばれる参議院の存在意義を問われる問題である。派閥の論理で参議院が行動するのであれば参議院不要論を勢いづかせることになり、自ら自分らの存在を否定することになる。 郵政法案が成立せず現在の郵政公社のままでも、郵便貯金や簡易保険には政府の保証がつくので一般市民のお金が集まりやすく、いまや、その額は340兆円と言われるほどで大きな国民資産になっている。ところがその資産を管理する役人は有効な運用先を探さず、前例に倣って大半を国債や地方債の購入に当てている。国債は財政赤字の穴埋めと財政投融資の財源に使われる。購入した国債を通して、一般会計や財政投融資に潤沢にまわる資金を狙って政治家や官僚、財投機関関係者が予算の獲得に暗躍する。金のあるところにそれを毟り取ろうとして悪人が群がるのは日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁工事についての談合事件などでも見慣れた構図である。民営化によりこのような良からぬ政治家や官僚、財投機関関係者の懐を潤すために使われていた資産の流出を止め、国民から預かった資産を国民のために有効に使うのが民営化の第一の効果である。 郵政公社の経営の現状は、郵貯や簡保で集めた資産の運用益で、郵便事業など他の部門のコストを負担しているのであるが、郵貯、簡保の資産は年々減少しており、不採算部門のコストを賄いきれなくなるのは時間の問題である。今のままでいて、累積損失が限界に達した時にどうするのか。国鉄民営化の時は30兆円に近い損失を税金で穴埋めしたのであるが、それの二の舞にならぬようにしなければならぬ。民営化により、不利益を蒙る者が出ることは予想されるが、それぞれに解決策を考えるとして、まず大きな改革をしなければならぬ。 自民党の有力議員や族議員が郵政民営化法案反対を叫ぶのは、自らの地位を保持するための有力な票田を確保しておくためである。世襲制で運営されている特定郵便局や郵政事業に従事する局員を繋ぎ止めて置くために彼らの要望に応える行動をしているのである。口では国民のためと言うが、自分の選挙のためのごく一部の国民のためであることは明らかである。 本当に日本の将来を考えるならば、現在上程されている郵政民営化法案に多少の異論があっても可決成立させるべきであるが、野党は揃って反対を叫んでいる。特に、民主党は郵政民営化法案に関連して自民党が分裂し、法案が否決されて選挙になり、民主党が第一党となって政権が転がり込んで来るようなことを期待しているかも知れないが、現在の国連改革、北朝鮮の核と拉致問題などの国際情勢や国内問題の解決は民主党には難しい。 (2005.7.30) 以 上 |