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ロックミュージシャンの死

60・70年代のロックミュージシャンの多くが麻薬中毒でこの世を去っているのは周知の事実である。しかしそれ以降も、数多くのミュージシャンが他界している。そこで、死亡したロックミュージシャンと享年、死因をデータベース化してみることにした。
と思い立ったのはいいが、これが大変な作業だった(~_~;) 調べれば調べるほど、あ、この人も逝ってる、あの人も…、と収拾がつかなくなってきた。
仕方なく、著名なミュージシャン、著名なバンドに所属していたミュージシャンのみにしぼってとりあえず一覧表にしてみたのが下表である(まだ未完の部分もある)。誤りのご指摘、または「この人が抜けている!」というご意見があったらお寄せいただきたい。
表の下に「分析」を掲載している。

ミュージシャン名所属バンド名、パート等享年死亡年死因
バディ・ホリーロックンローラー、ギタリスト22歳1959年飛行機事故(リッチー・ヴァレンス、ビッグ・ボッパーも同乗)
リッチー・ヴァレンスロックンローラー、ギタリスト17歳1959年飛行機事故(バディ・ホリー、ビッグ・ボッパーも同乗)
エディ・コクランロックンローラー、ギタリスト21歳1960年タクシーの事故
ブライアン・ジョーンズローリングストーンズの初代ギタリスト27歳1969年プールで溺死
ジミ・ヘンドリックスギタリスト27歳1970年麻薬中毒
ジャニス・ジョップリンボーカリスト27歳1970年麻薬中毒
ジム・モリソンドアーズのボーカリスト27歳1971年心臓麻痺
デュアン・オールマンオールマンブラザーズバンドのギタリスト25歳1971年バイク事故
ベリー・オークリー同上ベーシスト不明1972年バイク事故
キース・レルフヤードバーズ33歳1975年感電死
ゲイリー・セインユーライア・ヒープのベーシスト1975年感電事故の後遺症
トミー・ボーリンディープ・パープル等のギタリスト25歳1976年麻薬中毒
ポール・コゾフフリーのギタリスト26歳1976年麻薬中毒
マーク・ボランTレックスのボーカリスト29歳1977年自動車事故
ロニー・ヴァンザンドレイナード・スキナードのボーカリスト1977年飛行機事故
スティーブ・ゲインズレイナード・スキナードのギタリスト1977年飛行機事故
エルヴィス・プレスリーロックンローラー42歳1977年不整脈による心臓発作
キース・ムーンザ・フーのドラマー31歳1978年睡眠薬の過飲
テリー・キャスシカゴのギタリスト31歳1978年拳銃の暴発
シド・ビシャスセックス・ピストルズのベーシスト21歳1979年麻薬中毒
ジョン・ボーナムレッド・ツェッペリンのドラマー32歳1980年アルコール過飲(ウォッカ40杯)による窒息死
ボン・スコットAC/DCの初代ボーカリスト1980年アルコール過飲による窒息死
ジョン・レノンビートルズのボーカリスト&ギタリスト40歳1980年射殺
ランディ・ローズクワイエット・ライオット、オジー・オズボーン・バンドのギタリスト1982年飛行機事故
フェリックス・パパラルディマウンテンのベース&ヴォーカリスト1983年妻に殺される
デニス・ウィルソンビーチボーイズ1983年溺死
ラズルハノイ・ロックスのドラマー24歳1984年ヴィンス・ニール(モトリー・クルー)の運転する車での事故
デヴィッド・バイロンユーライア・ヒープのヴォーカリスト1985年
クリフ・バートンメタリカのベーシスト1986年交通事故
フィル・ライノットシン・リジィのヴォーカリスト1986年麻薬中毒
リチャード・マニュエルザ・バンドのピアニスト41歳1986年自殺
ロイ・ブキャナンギタリスト48歳1988年自殺
スティービー・レイボーンギタリスト35歳1990年飛行機事故
フレディ・マーキュリークイーンのボーカリスト45歳1991年エイズ
スティーブ・マリオットスモール・フェイセズ、ハンブル・パイのボーカル、ギター1991年自宅の火事
ジョニー・サンダースニューヨーク・ドールズのギタリスト38歳1991年薬物・アルコールの過剰摂取
ジェフ・ポーカロTOTOのドラマー38歳1992年殺虫剤アレルギーによる心臓マヒ
フランク・ザッパギタリスト52歳1993年
カート・コバーンニルヴァーナのボーカリスト1994年自殺
ロリー・ギャラガーギタリスト46歳1995年肝臓移植の合併症
ジェリー・ガルシアグレイトフルデッド53歳1995年
ロニー・レインフェイセズのベース・ボーカル51歳1997年多発性脳脊髄硬化症
コージー・パウエルドラマー。ジェフ・ベック・グループ、レインボー、ホワイトスネイク、ブルー・マーダー、マイケル・シェンカー・グループ、エマーソン・レイク&パウエル、ブラック・サバス、イングヴェイ・マルムスティーン等50歳1998年自動車事故
カール・ウィルソンビーチボーイズ1998年肺癌
リック・ダンコザ・バンドのベーシスト56歳1999年
ジョージ・ハリソンビートルズのボーカリスト&ギタリスト58歳2001年
ジョー・ストラマークラッシュ2002年心不全
ジョン・エントウィッスルザ・フーのべーシスト57歳2002年心臓発作
キース・ヌードセンドゥービーブラザーズのドラマー56歳2005年肺炎
シド・バレットピンク・フロイドの初代ボーカリスト・ギタリスト60歳2006年糖尿病の合併症
ブラッド・デルプボストンのボーカリスト55歳2007年不明

分析

上にも書いたとおり、60・70年代ロッカーのほとんどは重度の麻薬中毒・アルコール中毒であった。この時代に若死にしているミュージシャンは、直接の死因は心臓麻痺、窒息死などいろいろあれ、真の原因は麻薬である。度を越したドラッグの摂取が死をもたらすことを承知の上でのことであり、一種の自殺とも評価し得よう。
逆に、この時代にヘヴィなドラッグ&アルコール中毒であったエリック・クラプトン、ミック・ジャガー、キース・リチャードがまだ生きているのが不思議なくらいである。
ミュージシャンの死因として次に多いのは事故死である。飛行機事故など、本人に非のない不遇の事故がある一方、比較的最近死んだコージー・パウエルなどは酒気帯びで暴走していたようだ。
総じてロックミュージシャンは不注意であり、生に対する頓着が欠けているようだ。それがロッカーらしいゆえんでもあるのだが…。
「自殺」も数例ある。ニルヴァーナのカート・コバーンのように、内省的な歌詞を作るような繊細な人間が精神的に追い詰められて自殺に至るのであろう。リチャード・マニュエル、ロイ・ブキャナンも自殺だ。
例外中の例外が「他殺」である。ファンによって射殺されたジョン・レノンが唯一の例と思っていたら、フェリックス・パパラルディは妻に殺されていた。また、ジム・モリソンは、恋人によって殺されたという疑惑がささやかれている。
ちなみにジョン・レノンは、平和運動を展開し思想的影響力が強すぎるのを懸念したアメリカ国家による暗殺説も根強い。
1980年以降は、ドラッグ漬けの破滅型ミュージシャンは時代遅れとして姿をひそめている(例外もある)。
逆に1990年以降目立つようになってきたのは、「病死」である。ロック界にも高齢化の波が押し寄せてきたのだ。ガンで死亡したジョージ・ハリソンが代表例である。これからもこの傾向は続くだろう。今のところ、「老衰」によるロックミュージシャンの死亡は例がない。が、時間の問題であろう。
ところで懸念されるのは、ロック界を代表する名ドラマーが多くこの世を去っていることである。キース・ムーン、ジョン・ボーナム、コージー・パウエル、ジェフ・ポーカロ。ボーカリストやギタリストは次から次に現れるが、ドラマーはそう簡単にはいかない。現在、ロック界を代表するドラマーといっても、すぐには名前が浮かばない。この状況を誰が打開するのか…。


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