厚生労働省は3日、「患者7人に看護師1人」の手厚い看護配置基準(7対1)を満たす医療機関の収入を一律増としている診療報酬体系を廃止し、がんの化学治療に取り組むなど、患者にとって「看護必要度」の高い医療機関でなければ報酬加算を認めないようにする08年度診療報酬改定方針を、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)の小委員会に示した。7対1加算は手厚い看護による入院日数短縮を狙った06年度改定の目玉の一つだったが、収入増を狙う大病院が大量の看護師を抱え込むなどの問題を引き起こし、わずか2年で見直すことになった。
06年度改定で、厚労省は7対1を達成した医療機関の入院基本料を一律に増額した。ところが、国立大病院などが看護師の大量確保に乗り出し、一部の地方、中小病院が看護師不足に陥ったほか、故意に病床数を減らして7対1とし、軽症患者に過剰看護をする病院も現れた。このため、同省はやむなく、7対1加算の対象をがんの放射線治療など、真に手厚い看護が必要な患者が入院する医療機関に限定することにした。
具体的には、患者の看護必要度を点数化し、総点数が一定以上の医療機関のみ収入が増えるようにする。また厚労省は同日、医師不足が顕著な産科、小児科、救急部門で7対1を満たす医療機関は報酬面で「特別の配慮」をすることや、小児科に限り、基準を超す医師数を配置していれば、さらに報酬を上乗せする方針も合わせて提示した。【大場伸也】
毎日新聞 2007年10月3日 18時25分