脳梗塞(こうそく)患者の脳の血栓にカテーテルで血栓溶解剤を注入し、血流を回復させる新たな治療法は、社会復帰できるまで回復する患者の割合が従来の薬物治療の約2倍に高まるとの臨床試験結果を、全国57施設が参加する研究グループが3日、発表した。記者会見した主任研究者の小川彰・岩手医科大学教授は「今後、早期治療では血管内治療が標準になっていくと思う」と述べた。
臨床試験には岩手医大のほか、東北大学、国立循環器病センターなど全国の大学や病院が参加。脳に血液を送る「中大脳動脈」が血栓でふさがって脳梗塞になり、2002年1月から05年10月にかけて各施設に運ばれた患者を対象にした。発症から6時間以内で脳の損傷がほとんど始まっていない段階の患者で、家族の同意が得られた114人を対象とした。
患者を57人ずつ二組に分け、一方には足の付け根からカテーテルを入れ、脳の動脈の詰まっている部分に直接、ウロキナーゼという血栓溶解剤を注入する新治療を行った。もう一方はむくみを取ったり脳の血液の循環を改善したりする従来の薬物治療を行った。(00:41)