中医協、08改定の審議を開始

 厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)は10月3日、診療報酬基本問題小委員会を開き、2008年度の診療報酬改定に向けた本格的な議論を開始した。この日の会合では、「7対1入院基本料の基準の見直し」と「小児医療の診療報酬の引き上げ」について審議した。

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 7対1入院基本料の基準の見直しについて、厚労省は急性期病院の一般病棟で実施されている治療(がんの化学療法や放射線治療)などを考慮した新しい基準(看護必要度)を設定することを提案した。看護必要度について再調査を実施し、その結果を踏まえて導入に踏み切る方針。

 小児医療については、「小児入院医療管理料」で設定されている施設基準以上の医師を配置して専門的な小児医療を提供する施設について、「さらなる診療報酬上の評価を行ってはどうか」と提案。委員から異論が出たため、次回以降に引き続き審議する。

1.「7対1入院基本料」の基準の見直しについて
 
前回の06年度診療報酬改定で創設された「7対1入院基本料」をめぐっては、看護師の獲得競争が激化した結果、地方の病院で深刻な看護師不足が指摘されるなど多くの問題が指摘されていた。
 このため、中医協は今年1月31日に「7対1入院基本料」の基準の見直しを求める建議を厚労相に提出。看護職員の配置数を満たした病院について届出を認めるという現行の7対1入院基本料の基準を見直し、「手厚い看護が必要な入院患者が多い病院等に限って届出を可能とする」ことなどを求めていた。

 厚労省はこの建議に基づいて、今年2月から8月にかけて「看護職員配置と看護必要度に関する実態調査」を3回にわたって実施。現在、看護必要度が導入されている「特定集中治療室管理料」と「ハイケアユニット入院医療管理料」のうち、「ハイケアユニット入院医療管理料」で用いられている評価票を調査に使用した。

 今年2〜3月には、「7対1算定病院」の患者の重症度や看護必要度を調査し、6〜7月に「10対1、13対1算定病院」を調査。この2つの調査結果を踏まえ、追加的に「タイムスタディ調査」を7〜8月に実施し、患者に提供した看護を1分刻みで調べた。
 調査の結果、「7対1」「10対1」「13対1」における入院患者の違いが明らかになれば、7対1入院基本料の施設基準に導入する看護必要度の指標にする予定だった。

 しかし、「ハイケアユニット入院医療管理料」には、急性期病院の一般病棟で通常実施されている治療(がんの化学療法、放射線治療など)や処置などに関する項目がないため、急性期病院の一般病棟に入院している患者に対する看護必要度を評価する基準としては不十分だった。
 また、「タイムスタディ調査」の結果を見ると、「7対1算定病院」と「10対1算定病院」との間には、患者の医療必要度(治療や処置の内容)に大きな違いが見られなかった。
 このため、急性期病院の一般病棟における患者の医療必要度について再調査し、「7対1算定病院」と「10対1算定病院」との間に明確な差が見られるようであれば、7対1入院基本料に「看護必要度」を導入する。

2.小児医療について
 
小児医療について、厚労省は「診療報酬の施設基準以上の人員を配置し、特に手厚い体制が取られているような専門的医療を提供する施設について、さらなる診療報酬上の評価を行ってはどうか」と提案した。

 これに対しては、「個々のドクターそれ自体に対して、その苦労に報いる“報酬”や“手当て”を検討すべき」といった意見や、「小児の分野で先端医療を提供しているセンター的な病院は看護師の配置も手厚いため、6対1看護などを評価してほしい」といった意見などが出された。また、専門病院の入院医療を偏重することなく、初期医療の外来対応を評価してほしい」との意見も出された。

 厚労省保険局の原徳壽医療課長は「プライマリーケアで対応していただくことは重要だ。従来からもさまざまな工夫をして点数を付けてきた。『その点数をさらに上げるのか』という議論もあるが、“もう少しの工夫”という点では良いものはない。小児医療の質全体を上げるためには、トップレベルのところをしっかりしてもらうという提案だ」と答えた。


更新:2007/10/03   キャリアブレイン

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