大牟田市立総合病院の経営形態を見直す検討委員会(委員長・信友浩一九州大大学院教授)は3日、同市役所で最終の第6回会合を開き、指定管理者制導入を軸とする答申案をまとめた。10日に古賀道雄市長に答申する予定。同制度が導入されれば、病院職員がいったん退職する形になることから、現場の反発も予想される。

 答申案は(1)年間約9億円の繰入金に依存する体質を改め、病院経営の責任を明確化させる(2)病院建設に要した借入金約137億円は、病院側の負担としない‐との原則を掲げた。その上で、病院の「経営」と「所有」を明確に分離する必要があると結論。市の病院として存続させながら、民間の経営に委ねる指定管理者制が最もふさわしいとした。導入が難しい場合は、職員が退職しなくても移行できる「非公務員型独立行政法人」による運営も選択肢とした。

 同日の会合で、複数の委員が「指定管理者制には賛成しかねる」「指定管理者制に移行した大半の病院が市の繰入金を必要としており、独法化と大差ない」などと強く反対したため、「独法化を推した意見もあった」と、答申案に付記された。

 同病院の経営見直しについては、市議会や市職員労働組合から「地方公営企業法の全部適用でも経営が改善された事例がある」などと、公務員身分の廃止に反発する声が上がっている。また職員退職金として約18億円が必要との試算もある。経営形態変更に伴う条例改正には議会の議決も必要で、実現にはなお曲折も予想される。

=2007/10/04付 西日本新聞朝刊=