日雇い派遣最大手「グッドウィル」甲府支店(甲府市丸の内2)に派遣登録していた峡中地域に住む30代の男性が2日、集合時間から仕事開始時間までの賃金などを払わなかったのは労働基準法に違反するとして、甲府労働基準監督署に申告した。同社に対する同様の申告は県内で初めて。男性は県内の他の登録者と一緒に行動していきたいとした。
男性によると、同社に派遣登録したのは05年10月で、引っ越し業務や配送助手の業務に従事。今年3月24日まで11回勤務した際、理由もなく賃金から「データ装備費」として200円を天引きされたほか、同年8月16日まで15回勤務した際も早朝・深夜手当などの支払いが不十分で、計3万8372円が未払いになっていると訴えた。
同社を巡っては、別の男性による同様の申告を受け、大阪市の天満労基署が9月上旬、同法違反として休業手当を支払うよう是正勧告を出した。派遣1回当たり200円を「データ装備費」として徴収していた問題でも、同社の派遣労働者26人が過去10年分の返還を求めて東京地裁に提訴。今回申告した男性も原告に加わる予定だったが、「グッドウィルが賃金明細の提出を渋った」(男性)ために間に合わず、断念したという。
男性は「法に基づいて支払ってもらいたい。当局からの指摘があれば厳粛に受け止めてほしい」と訴えている。
◇「回答控える」
一方、同社広報室は今回の申告を把握していないとし、「個別事案については回答を控える」と答えた。同様の申告が全国で相次いでいるとされるが、申告件数についても回答しなかった。
「データ装備費」を巡り、同社は徴収を今年5月に廃止したほか、「賃金請求権の時効」(2年)を根拠に過去2年分の返還を始めている。【吉見裕都】
10月3日朝刊
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