2007/10/3  20:20

日葡辞書の周辺・手塚裕美  分類なし

投稿日:2007年10月 3日(水)20時17分13秒   返信・引用
*手塚さんの「日葡辞書の周辺」を下記のように添削しました。
要約書誌の要約文を作成することは、みなさんなんとか、できるようになって、
うれしいことです。
あとは、誰が読んでも納得できる、1頁という狭い場所に盛り込むために、
広く深く調査する理由を5行程度に、まとめることが、
最重要課題となってくるわけです。
一層調査データを読み深めて、ピンポイントテーマを探し出し、
調査理由を誰にもわかりやすく、説明できるようになってください。

「日葡辞書」の周辺・1頁要約書誌(手塚裕美)

「日本国語大辞典 第2版」の帯に「用例出典ランキング」が紹介されていました。
古典文学のベスト1は「源氏物語」で15020例、近代作家のベスト1は夏目漱石で13090
例、文学作品以外のベスト1が「日葡辞書」で18800例でした。「源氏物語」よりも、
ポルトガル宣教師たちが採取した言葉の用例が多いことに、興味を喚起されました。

○幼年の頃「イッサンバラリコ出ると鬼、イッサンバラリコのこり鬼」と歌って鬼ご
っこをしたが、この歌の源流も「日葡辞書」に登載されている。「嬉遊笑覧」の著者に
「日葡辞書」を見せたかった気がする。
(亀井 孝 「国語学 44」 武蔵野書院 1961 p136)

○吉利支丹文学のほか、天草本伊曾保物語をはじめ、宗門の法語類、平家物語と太平
記はむろんのこと、方丈記や発心集が引例されている。舞の本からの引証が頗る多い
のが、日葡辞書である。
(新村 出 「国語国文 1(1)」 星野書店 1931 p18)

○キリシタン資料で他の文献を引用する場合に、多くの改変がなされていることはよ
く知られており、現代の目から見れば科学的でない杜撰な引用態度とも見えるが、改
変は、文の簡潔性、短文化を中心としている。より多数の布教のための実用性という
観点にたてば、明解性を配慮した必然の編集態度といえる。
(永田信也 「国語国文研究 64」 北海道大学国語国文学会 1980 p28)

○標準語である京言葉を「上の語」、布教の一大中心地である九州で使われている方言
を「下の語」として分類できる編者には、ネイティブ・スピーカーである日本人イル
マンが関与していたとしか考えられない。
(丸田博之 「国語国文 65(5)」 中央図書出版社 1996 p475)

○オックスフォード大学ボドレアン図書館で、「長崎版日葡辞書」を手渡され、頁をめ
くると、机上に冬の朝日が射し込み、手漉きのすだれの模様がくっきりと見えます。
手触り、質感、まさに日本の紙でした。
(八木正自 「日本古書通信 61(2)」 日本古書通信社 1996 p27)

○「日葡辞書」を見ると宣教師たちが邦楽に関心があったことがわかる。琵琶、横笛、
笙、などの楽器名は勿論、日本の歌や舞を説明する十二律、協和音、調子、五音など
の用語が収められている。
(和田町子 「聖心女子大学論叢 96」 2001 p108)



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