重度障害者が入院したとき、医師や看護師との意思疎通がスムーズにできるよう、神戸市は十月から、医療機関に付き添いの人を派遣する「コミュニケーション支援事業」を始めた。利用時間は三十日、百五十時間が上限。重度障害者が安心して地域で暮らし、入院もできることを目指す。
これまでは同様の支援がなく、障害者が早期に退院するケースもあったという。同事業の対象は、障害程度区分6で、重度訪問介護を受けている▽左右の上肢が不自由でナースコールが押せない▽発語困難のため意思表示をしにくい▽一人暮らしなどのため介護者がいない-のすべてに当てはまる人とする。
普段から対象者と意思疎通をしている人を「コミュニケーション支援員」として派遣。利用時間は入院後三日間は一日あたり十時間以内、四日以降は五時間以内とし、本年度は約九十万円を予算化している。
市と話し合いを進めてきた神戸障害者地域生活センター理事長で、脳性まひ患者の野橋順子さん(32)=同市東灘区=は「制度自体は評価できるが、利用できる時間が足りない」と指摘し、「重度障害者にはコミュニケーション支援だけでなく、入院中のヘルパー介護も必要」としている。(中島摩子)