国内で100万人以上が悩まされているとされる椎間板(ついかんばん)ヘルニアの原因遺伝子の一つを、理化学研究所などの研究チームが特定した。椎間板ヘルニアの発症への関与が判明した遺伝子は二つ目で、予防や治療法の開発につながると期待される。
椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間でクッションの役割を果たす椎間板が変形し、神経を圧迫して腰痛や座骨神経痛を引き起こす病気。複数の遺伝子が関係するほか、後天的な要因も影響するとされている。
同研究所遺伝子多型研究センターの池川志郎チームリーダーらは、患者と正常な人それぞれ約900人ずつの遺伝子を統計学的に調べた。その結果、COL11A1と呼ばれる遺伝子の差異によって、発症の可能性が最大1.4倍高まることが分かった。
COL11A1は、椎間板を正常に保つ働きのある11型コラーゲン(繊維状たんぱく質)を作る遺伝子で、実際に患者の椎間板では11型コラーゲンが減少していることも確認した。
池川さんは「このタイプの患者には、11型コラーゲンを投与すれば治療できる可能性がある。遺伝的に椎間板ヘルニアになりやすいと分かれば、日常生活に注意することで予防にもつながる」と話している。【西川拓】
毎日新聞 2007年10月2日 19時20分
10月2日 | 椎間板ヘルニア:原因遺伝子の一つを特定 |