「朝鮮聘礼使淀城着来図」が返還され、喜ぶ渡辺さん

葵江戸中期に淀藩士が描き、藩士の子孫宅から昭和初期に持ち出されたまま行方が分からなくなっていた「朝鮮通信使」の絵図が、今年になって京都大の収蔵庫で見つかり、約70年ぶりに子孫に返還された。
朝鮮国王が江戸幕府に派遣した通信使が延享5年(1748)、淀城を訪れた様子を描いた彩色の「朝鮮聘礼使淀城着来図」(縦横約1・4m)。接待役を務めた淀藩士の渡辺善右衛門が描いた。淀城などが描かれた「着来図」
中央に淀城が描かれ、宇治川を旗を立てて進む通信使の御座船や行列の様子、町中に飾られた歓迎の提灯、見物する庶民の姿を詳細に描写している。
渡辺家に“家宝”として伝わり、大正時代には、これを基に京都大が複製を作製した。昭和5年(1930)頃、同大学の関係者が再び借り受けたと見られ、その後所在が分からなくなっていた。
今年2月、同大学文学部長の藤井譲治教授が収蔵庫内で偶然、この絵図を発見。大学の所有を示すラベルなどがなかったため、子孫の渡辺辰江さん=伏見区=に返還した。
 渡辺さんは「長年、所在がわからず心配していたのでほっとした」と喜んでいる。藤井教授は「日本の子どもと遊んだり、鶏を一緒に追いかける朝鮮人の姿が活き活きと描写され、日本の民衆と交流していた様子がわかる」と話している。(読売新聞2004-05-04)

戻る
朝鮮通信使絵図作者子孫に戻る