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郵政民営化に関する特別委員会


委員一覧(35名)
委員長 陣内  孝雄(自民)
理 事 市川  一朗(自民)
理 事 世耕  弘成(自民)
理 事 山崎   力(自民)
理 事 伊藤  基隆(民主)
理 事 平野  達男(民主)
理 事 山下 八洲夫(民主)
理 事 弘友  和夫(公明)
愛知  治郎(自民)
有村  治子(自民)
岩城  光英(自民)
小野  清子(自民)
小池  正勝(自民)
小泉  昭男(自民)
椎名  一保(自民)
関口  昌一(自民)
野上 浩太郎(自民)
長谷川 憲正(自民)
藤野  公孝(自民)
山下  英利(自民)
山本  順三(自民)
大塚  耕平(民主)
岡崎 トミ子(民主)
齋藤   勁(民主)
櫻井   充(民主)
高橋  千秋(民主)
峰崎  直樹(民主)
山根  隆治(民主)
若林  秀樹(民主)
渡辺  秀央(民主)
西田  実仁(公明)
山口 那津男(公明)
山本  香苗(公明)
大門 実紀史(共産)
又市  征治(社民)
(17.7.13 現在)
(1)審議概観
 
 第162回国会において、本特別委員会に付託された法律案は、内閣提出法律案6件
であり、委員会においてはいずれも可決したが、本会議では否決となった。
 また、本特別委員会付託の請願4種類67件は、衆議院解散のため、審査未了となっ
た。
 
〔法律案の審査〕
郵政民営化関連6法案 郵政民営化法案は、郵政民営化の基本的な理念等を定めるほ
か、法律公布の日から平成19年3月31日までの準備期間中に、郵政民営化推進本部及
び郵政民営化委員会を設置し、持株会社となる日本郵政株式会社をあらかじめ設立す
ること、その他郵便貯金銀行及び郵便保険会社の設立、公社の業務等の承継計画の策
定等について定め、また、平成19年4月1日に、郵便事業株式会社、郵便局株式会社
及び独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構を設立すること、郵便貯金銀行及
び郵便保険会社について、銀行業又は生命保険業の免許を受けたものとみなし、最終
的な民営化を実現するまでの移行期間中に、持株会社は両会社の株式のすべてを処分
しなければならないこと等について定めようとするものである。
 日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案及び郵便局株式会社法案は、政
府が、常時、持株会社の発行済株式総数の3分の1を超えて保有していなければなら
ないこと、持株会社は郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の総数を保
有しなければならないこと、また、持株会社は、両会社が実施する社会貢献業務及び
地域貢献業務に要する費用に充てる資金を交付するため、社会・地域貢献基金を設け、
積み立てること、さらに、郵便局株式会社は、あまねく全国において利用されること
を旨として郵便局を設置しなければならないこと等について定めようとするものであ
る。
 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案は、機構が、公社から承継
した郵便貯金及び簡易生命保険を適正かつ確実に管理し、債務を履行すること、その
他非特定独立行政法人としての機構の役職員、財務等について定めようとするもので
ある。
 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、郵便貯金法、
簡易生命保険法、日本郵政公社法等13の関係法律を廃止するほか、郵便法において、
郵便業務の対象から小包郵便を除外し、特別送達等につき信用力を確保するため郵便
認証司の制度を設ける等、関係法律について規定の整備等を行おうとするものである。
 6法律案は、衆議院において、5月26日、本会議で趣旨説明及び質疑が行われ、同
日の委員会で趣旨説明を聴取して審議入りし、以降ほぼ連日にわたり委員会審査が行
われた。これに並行して法案修正を検討していた与党は6月28日に案を取りまとめ、
6月30日、修正案の趣旨説明が行われた。そして、7月4日、委員会において6法律
案の採決の結果、賛成多数により、4法律案について修正議決、2法律案について可
決すべきものと決定された。翌5日の本会議において、記名投票をもって採決の結果、
賛成233、反対228で、委員長報告のとおり議決され、6法律案は本院に送付された。
 衆議院の修正内容は、@郵政民営化法案について、議決権の行使に関する事項を郵
便貯金銀行及び郵便保険会社の定款に必ず定めなければならないことを規定するとと
もに、民営化委員会が3年ごとに行う「総合的な検証」を「総合的な見直し」に改め
ること、A日本郵政株式会社法案において、社会・地域貢献基金について1兆円を超
えて積み立てることができることを明確にし、2兆円まで積み立てる場合には、1兆
円までと同じルールで積み立てなければならない旨定めること、B郵便局株式会社法
案において、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行
業及び生命保険業の代理業務を明示すること、その他C郵政民営化法等の施行に伴う
関係法律の整備等に関する法律案について所要の修正を行うものであった。
 本院では、7月13日、本会議において、6法律案の趣旨説明及び質疑が行われた。
 委員会においては、6法律案を一括して議題とし、7月14日に竹中国務大臣及び修
正案提出者衆議院議員山崎拓君から説明を聴取した後、小泉内閣総理大臣の出席を求
めて3回にわたり質疑を行ったほか、一般質疑を延べ7回行うとともに、地方公共団
体の関係者を中心として2日間、16名の参考人から意見聴取し質疑を行った。さらに、
東京都、大阪府、京都府及び岩手県に2班に分けて委員を派遣し、現地調査を実施す
るとともに、京都市及び盛岡市において地方公聴会を開催し、計8名の公述人から意
見を聴取し質疑を行った。また、金融を中心とした郵政事業及び郵便事業を中心とし
た郵政事業について、2回の集中審議を行うなど、委員会における審査は、連日16日
間に及んだ。
 委員会の質疑においては、郵政民営化の意義及びなぜ今民営化が必要なのか、郵政
民営化を行うに当たっては、中央省庁等改革基本法第33条第1項第6号の改正が必要
であり、また、公社の中期経営計画4年間の状況を踏まえるべきであるとする指摘が
あった。さらに、過疎地、都市部も含めて郵便局の設置基準をどのように定め、国民
の資産である郵便局全国ネットワーク網をいかに維持していくのか、特に金融のユニ
バーサルサービスをどのように確保するのか。そのためには、株式持ち合い等により
グループ一体で事業を確保できるようにすべきではないか、等の議論が展開された。
また、3年ごとの民営化委員会の見直しには、経営形態の在り方を含め総合的な見直
しが必要なのではないか、さらには、340兆円に上る郵貯・簡保資金が郵政民営化に
より本当に官から民へ流れることになるのか、低所得者が銀行口座を持てないような
金融排除の問題が将来生じるおそれはないのか等々の議論が交わされた。その他、4
分社化の趣旨、衆議院における修正内容とその経緯、政府関与の残る特殊会社による
民業圧迫のおそれ、職員の非公務員化による特別送達等公的サービスへの影響、社会・
地域貢献基金の性格及びその必要な規模、情報システム対応の問題点、民営化による
財政への貢献、地方議会の意見書に対する説明責任、簡易保険の責任準備金の状況と
税制上の取扱い、民営化に伴う職員の雇用及び勤務条件への配慮、国際物流事業への
参入に必要な条件整備、骨格経営試算と採算性に関する試算の妥当性、簡易郵便局及
び特定郵便局の果たしてきた役割と維持方策、規制改革に関するアメリカの対日要求
と民営化との関連、機構に承継される資産の運用方法、分割民営化により新たに生じ
る税負担の減免、外資等による敵対的買収への防衛策、政府広報の在り方等々と、質
疑は広範多岐にわたった。
 8月5日、委員会において質疑、討論の後、採決の結果、6法律案はいずれも多数
をもって原案どおり可決すべきものと決定した。次いで、与党から、6法律案に対し
て、15項目にわたる附帯決議案が提案され、多数をもって議決した。その内容は、簡
易郵便局を含めた郵便局ネットワークの現行水準が維持されるとともに、万が一にも
国民の利便に支障が生じないよう万全を期すこと。貯金・保険サービスを継続提供す
るため、長期・全国一括の代理店契約を承継計画において明確にするとともに、基金
についても2兆円規模まで積み立てること。持ち株会社及び4子会社が、総合的な経
営戦略に基づき、郵便局ネットワークを維持・活用できるよう株式の持ち合いを認め、
実効ある措置を講ずること等であった。
 なお、8月8日、本会議において、6法律案は、記名投票をもって採決の結果、賛
成108、反対125にて否決となった。
 
〔国政調査等〕
 7月27日、郵政民営化に関する調査及び郵政民営化法案外5案の審査のため、東京
都、大阪府、京都府及び岩手県に2班に分けて委員を派遣し、合同で東京中央郵便局
を視察したほか、大阪府の高島屋大阪店内郵便局及び新大阪郵便局、岩手県の葛巻郵
便局及び江刺家郵便局の現地調査を実施するとともに、翌28日、6法律案について京
都市及び盛岡市において地方公聴会を開催した。
 8月1日、上記の委員派遣について両班の派遣委員から報告を聴取するとともに、
地方公聴会速記録を同日の会議録に掲載することとした。
 
 
(2)委員会経過
 
○平成17年7月13日(水)(第1回)
 ○特別委員長を選任した後、理事を選任した。
 
○平成17年7月14日(木)(第2回)
 ○理事の補欠選任を行った。
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について竹中国務大臣から趣旨説明を聴き、
  郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)(衆議
  院送付)
   以上4案の衆議院における修正部分について修正案提出者衆議院議員山崎拓君から
   説明を聴いた。
 
○平成17年7月15日(金)(第3回)― 総括質疑 ―
 ○理事の補欠選任を行った。
 ○政府参考人の出席を求めることを決定した。
 ○参考人の出席を求めることを決定した。
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について修正案提出者衆議院議員山崎拓君、同柳澤伯夫君、同桝屋敬悟君、
   小泉内閣総理大臣、竹中国務大臣、北側国土交通大臣、谷垣財務大臣、麻生総務大
   臣、伊藤内閣府特命担当大臣、竹島公正取引委員会委員長、政府参考人及び参考人
   日本郵政公社総裁生田正治君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕山崎力君(自民)、世耕弘成君(自民)、江田五月君(民主)、峰崎直
         樹君(民主)、大塚耕平君(民主)、山口那津男君(公明)、小池晃君
         (共産)、近藤正道君(社民)
 
○平成17年7月19日(火)(第4回)― 質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について修正案提出者衆議院議員山崎拓君、竹中国務大臣、伊藤内閣府特
   命担当大臣、細田内閣官房長官、谷垣財務大臣、麻生総務大臣、北側国土交通大臣、
   谷川外務副大臣、政府参考人、参考人日本郵政公社総裁生田正治君及び同公社理事
   斎尾親徳君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕岩城光英君(自民)、山下英利君(自民)、櫻井充君(民主)、若林秀
         樹君(民主)、山根隆治君(民主)、西田実仁君(公明)、吉川春子君
         (共産)、又市征治君(社民)
 
○平成17年7月20日(水)(第5回)― 質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について修正案提出者衆議院議員柳澤伯夫君、竹中国務大臣、谷垣財務大
   臣、麻生総務大臣、細田内閣官房長官、尾辻厚生労働大臣、北側国土交通大臣、伊
   藤内閣府特命担当大臣、西川内閣府副大臣、政府参考人、参考人日本郵政公社総裁
   生田正治君及び同公社理事藤本栄助君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕野上浩太郎君(自民)、椎名一保君(自民)、平野達男君(民主)、高
         橋千秋君(民主)、尾立源幸君(民主)、山口那津男君(公明)、吉川
         春子君(共産)、又市征治君(社民)
 
○平成17年7月21日(木)(第6回)― 質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について竹中国務大臣、伊藤内閣府特命担当大臣、谷垣財務大臣、麻生総
   務大臣、尾辻厚生労働大臣、北側国土交通大臣、西川内閣府副大臣、政府参考人及
   び参考人日本郵政公社総裁生田正治君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕愛知治郎君(自民)、長谷川憲正君(自民)、小池正勝君(自民)、富
         岡由紀夫君(民主)、大久保勉君(民主)、広田一君(民主)、浜田昌
         良君(公明)、大門実紀史君(共産)、又市征治君(社民)
   また、6案について参考人の出席を求めることを決定した。
 ○委員派遣を行うことを決定した。
 
○平成17年7月22日(金)(第7回)― 質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について修正案提出者衆議院議員柳澤伯夫君、竹中国務大臣、麻生総務大
   臣、谷垣財務大臣、細田内閣官房長官、尾辻厚生労働大臣、西川内閣府副大臣、上
   田財務副大臣、佐藤人事院総裁、政府参考人及び参考人日本郵政公社総裁生田正治
   君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕関口昌一君(自民)、小泉昭男君(自民)、岡崎トミ子君(民主)、藤
         本祐司君(民主)、山本香苗君(公明)、吉川春子君(共産)、近藤正
         道君(社民)
 
○平成17年7月25日(月)(第8回)― 質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について修正案提出者衆議院議員柳澤伯夫君、竹中国務大臣、麻生総務大
   臣、谷垣財務大臣、尾辻厚生労働大臣、北側国土交通大臣、細田内閣官房長官、伊
   藤内閣府特命担当大臣、阪田内閣法制局長官、政府参考人、参考人日本郵政公社総
   裁生田正治君、同公社理事山下泉君、同公社理事斎尾親徳君、同公社理事間瀬朝久
   君及び同公社理事藤本栄助君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕藤野公孝君(自民)、山本順三君(自民)、中川雅治君(自民)、大塚
         耕平君(民主)、櫻井充君(民主)、草川昭三君(公明)、大門実紀史
         君(共産)、又市征治君(社民)
 
○平成17年7月26日(火)(第9回)― 参考人に対する質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について参考人石川県知事谷本正憲君、長崎県議会議長末永美喜君、猪苗
   代町議会議員渡部英一君、三重県議会議長田中覚君、大磯町長三澤龍夫君、廿日市
   市長山下三郎君、東大阪市議会議員佐野寛君及び千曲市議会議長原利夫君から意見
   を聴いた後、各参考人に対し質疑を行った。
  ・参考人(谷本正憲君、末永美喜君、渡部英一君、田中覚君)に対する質疑
    〔質疑者〕小池正勝君(自民)、若林秀樹君(民主)、西田実仁君(公明)、大門
         実紀史君(共産)、又市征治君(社民)
  ・参考人(三澤龍夫君、山下三郎君、佐野寛君、原利夫君)に対する質疑
    〔質疑者〕岩城光英君(自民)、山根隆治君(民主)、山口那津男君(公明)、大
         門実紀史君(共産)、渕上貞雄君(社民)
 
○平成17年7月29日(金)(第10回)― 参考人に対する質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について参考人横浜市長中田宏君、慶應義塾大学教授榊原英資君、山口県
   議会議員・NPO法人森と海の学校理事長岡村遠君、エコノミスト紺谷典子君、
   21世紀政策研究所理事長田中直毅君、八千代町議会議長稲葉常美君、日本経済研究
   センター理事長・慶應義塾大学商学部教授深尾光洋君及び泰阜村長松島貞治君から
   意見を聴いた後、各参考人に対し質疑を行った。
  ・参考人(中田宏君、榊原英資君、岡村遠君、紺谷典子君)に対する質疑
    〔質疑者〕関口昌一君(自民)、高橋千秋君(民主)、西田実仁君(公明)、吉川
         春子君(共産)、大田昌秀君(社民)
  ・参考人(田中直毅君、稲葉常美君、深尾光洋君、松島貞治君)に対する質疑
    〔質疑者〕小泉昭男君(自民)、内藤正光君(民主)、山本香苗君(公明)、吉川
         春子君(共産)、大田昌秀君(社民)
 
○平成17年8月1日(月)(第11回)― 質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について竹中国務大臣、麻生総務大臣、谷垣財務大臣、細田内閣官房長官、
   町村外務大臣、尾辻厚生労働大臣、政府参考人、参考人日本郵政公社総裁生田正治
   君、同公社金融総本部簡易保険事業本部長元女久光君、同公社理事斎尾親徳君及び
   同公社理事広瀬俊一郎君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕有村治子君(自民)、鶴保庸介君(自民)、松村龍二君(自民)、峰崎
         直樹君(民主)、山根隆治君(民主)、藤本祐司君(民主)、藤末健三
         君(民主)、山口那津男君(公明)、大門実紀史君(共産)、又市征治
         君(社民)
 ○派遣委員から報告を聴いた。
 
○平成17年8月2日(火)(第12回)― 質疑(内閣総理大臣出席)―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について修正案提出者衆議院議員山崎拓君、同柳澤伯夫君、小泉内閣総理
   大臣、竹中国務大臣、谷垣財務大臣、伊藤内閣府特命担当大臣、細田内閣官房長官、
   麻生総務大臣、尾辻厚生労働大臣、佐藤人事院総裁、政府参考人及び参考人日本郵
   政公社総裁生田正治君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕片山虎之助君(自民)、舛添要一君(自民)、岡田広君(自民)、平野達
         男君(民主)、山下八洲夫君(民主)、櫻井充君(民主)、草川昭三君
         (公明)、谷合正明君(公明)、吉川春子君(共産)、近藤正道君(社
         民)
 
○平成17年8月3日(水)(第13回)― 集中審議(金融を中心とした郵政事業)―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について修正案提出者衆議院議員柳澤伯夫君、同山崎拓君、竹中国務大臣、
   麻生総務大臣、谷垣財務大臣、尾辻厚生労働大臣、細田内閣官房長官、伊藤内閣府
   特命担当大臣、西川内閣府副大臣、竹島公正取引委員会委員長、阪田内閣法制局長
   官、政府参考人、参考人日本郵政公社理事斎尾親徳君、同公社総裁生田正治君、同
   公社理事間瀬朝久君及び同公社理事岡田克行君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕田中直紀君(自民)、秋元司君(自民)、大塚耕平君(民主)、峰崎直
         樹君(民主)、尾立源幸君(民主)、櫻井充君(民主)、西田実仁君(公
         明)、井上哲士君(共産)、又市征治君(社民)
 
○平成17年8月4日(木)(第14回)― 集中審議(郵便事業を中心とした郵政事業)―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について竹中国務大臣、細田内閣官房長官、伊藤内閣府特命担当大臣、尾
   辻厚生労働大臣、麻生総務大臣、谷垣財務大臣、西川内閣府副大臣、政府参考人、
   参考人日本郵政公社総裁生田正治君及び同公社理事斎尾親徳君に対し質疑を行った。
    〔質疑者〕小林温君(自民)、山下英利君(自民)、藤本祐司君(民主)、若林秀
         樹君(民主)、大久保勉君(民主)、水岡俊一君(民主)、山口那津男
         君(公明)、吉川春子君(共産)、又市征治君(社民)
 
○平成17年8月5日(金)(第15回)― 質疑・締めくくり総括質疑 ―
 ○郵政民営化法案(閣法第84号)(衆議院送付)
  日本郵政株式会社法案(閣法第85号)(衆議院送付)
  郵便事業株式会社法案(閣法第86号)(衆議院送付)
  郵便局株式会社法案(閣法第87号)(衆議院送付)
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)(衆議院送付)
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
  (衆議院送付)
   以上6案について小泉内閣総理大臣、竹中国務大臣、細田内閣官房長官、麻生総務
   大臣、北側国土交通大臣、阪田内閣法制局長官、政府参考人、参考人日本郵政公社
   理事斎尾親徳君、同公社理事山下泉君、同公社総裁生田正治君及び同公社金融総本
   部簡易保険事業本部長元女久光君に対し質疑を行い、討論の後、いずれも可決した。
  ・質疑
    〔質疑者〕大塚耕平君(民主)、峰崎直樹君(民主)、大門実紀史君(共産)、近
         藤正道君(社民)
  ・締めくくり総括質疑
    〔質疑者〕市川一朗君(自民)、山崎力君(自民)、高橋千秋君(民主)、平野達
         男君(民主)、弘友和夫君(公明)、大門実紀史君(共産)、又市征治
         君(社民)
    (閣法第84号)賛成会派 自民、公明
           反対会派 民主、共産、社民
    (閣法第85号)賛成会派 自民、公明
           反対会派 民主、共産、社民
    (閣法第86号)賛成会派 自民、公明
           反対会派 民主、共産、社民
    (閣法第87号)賛成会派 自民、公明
           反対会派 民主、共産、社民
    (閣法第88号)賛成会派 自民、公明
           反対会派 民主、共産、社民
    (閣法第89号)賛成会派 自民、公明
           反対会派 民主、共産、社民
    なお、6案について附帯決議を行った。
 
 
(3)議案の要旨・附帯決議
 
○衆議院を通過し、本院において否決した議案
 
             郵政民営化法案(閣法第84号)
                  【要旨】
 本法律案は、郵政民営化について、その基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定め
るとともに、郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会の設置、日本郵政株式会社等の設
立、日本郵政株式会社等に関して講ずる措置、日本郵政公社(以下「公社」という。)の
業務等の承継等に関する事項その他郵政民営化の実施に必要となる事項を定めようとする
ものであり、その主な内容は次のとおりである。
一、基本理念
  郵政民営化は、内外の社会経済情勢の変化に即応し、公社に代わる新たな体制の確立
 等により、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促
 進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運
 用を通じた経済の活性化を図るため、地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配
 慮しつつ、公社が有する機能を分割し、それぞれの機能を引き継ぐ組織を株式会社とす
 るとともに、当該株式会社の業務と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保
 するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与するこ
 とを基本として行われるものとする。
二、平成19年3月31日まで(準備期間)に執られる措置
 1 郵政民営化を推進するとともに、その状況を監視するため、政府に、内閣総理大臣
  を本部長とする郵政民営化推進本部及び内閣総理大臣の任命に係る委員5人からなる
  郵政民営化委員会を設置する。
 2 公社の国際物流事業への進出を可能とする。
 3 郵政民営化委員会は、3年ごとに、郵政民営化の進捗状況について総合的な見直し
  を行うとともに、民営化に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、本部
  長に意見を述べる。
   主務大臣は、日本郵政株式会社が作成する公社の業務等の承継に関する実施計画(以
  下「実施計画」という。)を認可しようとするときは、民営化委員会の意見を聴かな
  ければならない。
   総務大臣は、公社から国際物流事業を行う申請があったときは、民営化委員会の意
  見を聴かなくてはならない。
 4 準備企画会社として持株会社である日本郵政株式会社をあらかじめ設立し、同社に
  経営委員会を置く。経営委員会は、実施計画を策定する。
 5 日本郵政株式会社は、郵便貯金銀行、郵便保険会社となる子会社をあらかじめ設立
  する。
三、平成19年4月1日(民営化時)に執られる措置
 1 公社は、この法律の施行の時(平成19年4月1日)に解散し、日本郵政株式会社、
  郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社及び独立行政法人
  郵便貯金・簡易生命保険管理機構が認可を受けた実施計画に従って公社の業務等を承
  継する。公社の職員は国家公務員の身分を離れて各会社のいずれかの職員となる。
   なお、日本郵政株式会社は、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の
  全部を保有する。
 2 郵便貯金銀行・郵便保険会社に、安定的な代理店契約があること等を条件として銀
  行業・保険業の免許を付与する(みなし免許)。
四、平成19年4月1日から平成29年3月31日まで(移行期間)に執られる措置
 1 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、移行期間中
  にその全部を処分するものとする。
 2 各会社の業務について、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するた
  めに必要な制限を加えるとともに、移行期間中に、郵政民営化に関する状況に応じ、
  これを緩和するものとする。
 3 移行期間中における、銀行法及び保険業法の特例等を定める。
 4 郵便事業株式会社及び郵便局株式会社は、同種の業務を営む事業者へ配慮しなくて
  はならない。
五、平成29年4月1日(民営化移行完了)後
  郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会は役割を終え、郵便貯金銀行等に関する特
 例規定は失効する。郵便貯金銀行、郵便保険会社については、他の民間金融機関と同様
 に、銀行法、保険業法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行い、特殊会
 社である日本郵政株式会社等の3社については、必要な監督が行われることとする。
六、施行期日等
 1 本法律は、一部の規定を除き、平成19年4月1日から施行する。
 2 郵政民営化推進本部が、郵政民営化のための情報システムの開発が大幅に遅延する
  おそれがあり、かつ、そのために郵政民営化の円滑な実施に著しい支障を生ずるおそ
  れがあると認めるときは、閣議決定により、施行期日を平成19年10月1日とすること
  とし、そのための所要の規定を置く。
 なお、本法律案は、衆議院において、移行期間後議決権等の面で株式の連続的保有を可
能とするよう、基準日などの議決権の行使に関する事項を郵便貯金銀行及び郵便保険会社
の定款に必ず定めなければならない旨の規定を加えるとともに、郵政民営化委員会が3年
ごとに行う郵政民営化の進捗状況に係る総合的な検証を行う旨規定する政府提出案の規定
について、内外の社会経済情勢の変化に柔軟に対応する趣旨をより一層明確化するため、
「総合的な検証」を「総合的な見直し」と改める修正が行われた。
 【郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株
  式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民
  営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議】
 政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、国民の貴重な財産であり、国民共有の生活インフラ、セーフティネットである郵便局
 ネットワークが維持されるとともに、郵便局において郵便の他、貯金、保険のサービス
 が確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、
 万が一にも国民の利便に支障が生じないよう、万全を期すること。
  簡易郵便局についても郵便局ネットワークの重要な一翼を構成するものであり、同様
 の考え方の下で万全の対応をすること。
二、長期の代理店契約、基金の活用等により、郵便局が長年提供してきた貯金、保険の
 サービスが民営化後も引き続き提供されるよう配慮すること。そのため、承継計画にお
 いて、郵便局株式会社と郵便貯金銀行、郵便保険会社の間で移行期間を超える長期・全
 国一括の代理店契約の締結を明確にすること。なお、基金についても、2兆円規模まで
 積み立てること。
三、持株会社及び4子会社が、統合的な経営戦略に基づき、郵便局ネットワークを維持・
 活用できるよう、以下のとおり株式の持ち合いを認めること。
 1 持株会社について、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経
  営判断により他の民間金融機関と同様な株式保有を可能とし、その結果、株式の連続
  的保有が生じることを妨げないこと。そのため、連続的保有に関する法案修正を踏ま
  え、平成29年3月期の株主総会に係る株主の権利行使の基準日を適切に定款に規定す
  ること。
 2 移行期間中と言えども、郵政民営化法第105条、第134条の決定がなされた場合及び
  持株会社が郵便貯金銀行、郵便保険会社の全株式を処分した後は、郵便局株式会社が、
  特殊会社としての性格を考慮しつつ、経営判断により密接な取引関係を有する郵便貯
  金銀行、郵便保険会社株式を他の民間金融機関の例と同様に保有しグループとしての
  経営が可能であること。
 3 前記1、2によりグループとして株式の連続保有が可能となっていることに加え、
  民営化委員会が行う3年ごとの経営形態のあり方を含めた総合的な見直しの中で必要
  があれば更なる措置を講ずること。
 4 新たに設立される株式会社がそれぞれの経営判断により、新規事業への投資に加え、
  必要に応じ前記1、2、3を踏まえた適切な経営形態を採ることを可能とするため、
  持株会社において財務計画を定めるなど必要な措置を講ずること。
四、民営化委員会が行う3年ごとの見直しには、設置基準に基づく郵便局の設置状況、金
 融保険サービスの提供状況を含めること。また、民営化の進捗状況及び民営化会社の経
 営状況を総合的に点検・見直しを行うとともに、国際的な金融市場の動向等を見極めな
 がら、必要があれば経営形態のあり方を含めた総合的な見直しを行うこと。
  なお、民営化委員会の3年ごとの見直しに関する意見については、郵政民営化法第11
 条第2項によって国会へ報告されることとされているが、更に、郵政民営化推進本部が
 その意見を受けて施策を講ずるに当たっては、国会へ報告し、その意見を十分聴取する
 よう求める。
五、民営化後の各会社については、ロゴマークの統一、活発な人事交流等により、郵政グ
 ループとしての一体感の醸成を図り、職員のモラールの維持・向上に万全を期すること。
 特にロゴマークについては、国営、公社の時代を通じて長年国民に親しまれてきた貴重
 な財産であり、引き続き使用すること。
六、郵政民営化法附則第3条の運用に当たっては、郵政民営化のための情報システムにつ
 いて、万が一にもシステムリスクが顕在化し、国民生活に支障の生ずることのないよう、
 日本郵政公社と協力しつつ適切に対応すること。
七、日本郵政公社は、民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社が、預金保険機構、生命保
 険契約者保護機構に加入することに鑑み、民営化までに郵便貯金の限度額、簡易保険の
 保険金額の管理や口座の管理の徹底を含めコンプライアンス面での態勢を確立するこ
 と。
八、移行期間における業務範囲の段階的拡大を的確かつ円滑に実現するため、経営委員会
 (準備企画会社)及び民営化委員会を準備期間内のできるだけ早い時期に設置し、関係
 会社及び関係行政機関で予め先行的に検討と準備を進めること。
  なお、経営委員会(準備企画会社)と日本郵政公社が一体となって円滑に民営化の準
 備を進められるよう配慮すること。
九、民営化委員会の運営については、透明性の高いルールの下、積極的な情報公開に努め
 ること。
  また、民営化委員会の人選については、広く国民各層の声を反映できるよう公平・中
 立を旨とすること。
十、毎年巨額の国債を発行しているわが国の財政体質を早急に改善するとともに、それま
 での間、郵政民営化法第160条の適切な運用により国債の消化に支障を生ずることのな
 いよう対応すること。
十一、職員が安心して働ける環境づくりについて、以下の点にきめ細やかな配慮をするな
 ど適切に対応すること。
 1 現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく職員の勤労意欲が高まるよ
  う十分配慮すること。
 2 民営化後の職員の雇用安定化に万全を期すること。
 3 民営化の円滑な実施のため、計画の段階から労使交渉が支障なく行われること。
 4 労使交渉の結果が誠実に実施されること。
 5 新会社間の人事交流が円滑に行われること。
十二、民営化後においても良好な労使関係の維持に努めるとともに、万一、労働争議が発
 生した場合にも特別送達等の公的サービスはしっかり担保されるよう、万全の体制を構
 築すること。
十三、特定郵便局の局舎の賃貸借契約の期間については、業務基盤の安定性を確保する観
 点から、民間における契約の状況を参考としつつ、長期の契約とするなど、適切な対応
 を行うこと。また、特定郵便局の局舎の賃貸借料は、現在、適切な算出基準に基づいて
 算出されているところであり、民営化後も引き続き適切な算出基準に基づく賃貸借料を
 維持すること。
十四、商法上の規定を活用し、敵対的買収に対する適切な防衛策を措置すること。
十五、税制等に関し、以下の点について十分配慮すること。
 1 税制については、民営化に伴う激変緩和の必要性の有無、4分社化、基金の設置な
  ど郵政民営化に特別な論点を踏まえつつ、消費税の減免などを含め関係税制について
  所要の検討を行うこと。
 2 郵政民営化により法人税等の税収が増加することを踏まえ、過疎対策や高齢者対策
  の充実を図ること。
  右決議する。
 
           日本郵政株式会社法案(閣法第85号)
                  【要旨】
 本法律案は、郵政民営化を実施するため、日本郵政株式会社を設立することとし、その
目的、業務の範囲等に関する事項を定めようとするものであり、その主な内容は次のとお
りである。
一、会社の目的
  日本郵政株式会社(以下「会社」という。)は、郵便事業株式会社及び郵便局株式会
 社の発行済株式の総数を保有し、両社の経営管理を行うこと並びに両社の業務の支援を
 行うことを目的とする。
二、株式の政府保有
  政府は、常時、会社の発行済株式の総数の3分の1を超える株式を保有していなけれ
 ばならない。
三、業務等
 1 会社は、常時、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の総数を保有し
  ていなければならない。
 2 会社は、両社が発行する株式の引受け及び保有、両社の経営の基本方針の策定及び
  その実施の確保並びに両社の株主としての権利の行使の業務を行うほか、その目的を
  達成するために必要な業務を行うことができる。
四、社会・地域貢献資金の交付及び社会・地域貢献基金
 1 会社は、郵便事業株式会社に対し、社会貢献業務の実施に要する費用に充てるもの
  として、社会貢献資金を交付するものとする。
 2 会社は、郵便局株式会社に対し、地域貢献業務の実施に要する費用に充てるものと
  して、地域貢献資金を交付するものとする。
 3 会社は、社会貢献資金及び地域貢献資金の交付の財源をその運用によって得るため
  に社会・地域貢献基金を設け、所定の方法等に従って、1兆円に達するまで積み立て
  なければならない。1兆円を超えて基金を積み立てるときは、当該積立てが2兆円に
  達するまでは、1兆円までと同じ方法等によって行わなければならない。
五、施行期日等
 1 本法律は、一部の規定を除き、郵政民営化法の公布の日から起算して6月以内で政
  令で定める日から施行する。
 2 会社は、郵便貯金周知宣伝施設及び簡易生命保険加入者福祉施設を平成24年3月31
  日までに譲渡又は廃止しなければならない。
 3 政府は、その保有する会社の株式(二により保有していなければならない発行済株
  式を除く。)について出来る限り早期に処分するよう努めるものとする。
 なお、本法律案は、衆議院において、会社が、社会・地域貢献基金について1兆円を超
えて積み立てることができることを明確にするとともに、2兆円まで積み立てる場合には、
1兆円までと同じルールで積み立てなければならないとする旨の修正が行われた。
                 【附帯決議】
 郵政民営化法案(閣法第84号)と同一内容の附帯決議が行われている。
 
           郵便事業株式会社法案(閣法第86号)
                  【要旨】
 本法律案は、郵政民営化を実施するため、郵便事業株式会社を設立することとし、その
目的、業務の範囲等に関する事項を定めようとするものであり、その主な内容は次のとお
りである。
一、会社の目的
  郵便事業株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務及び印紙の売りさばきの
 業務を営むことを目的とする。
二、業務等
 1 会社は、その目的を達成するため、郵便法の規定により行う郵便の業務及び国の委
  託を受けて行う印紙の売りさばき並びにこれらの業務に附帯する業務を営む。
 2 会社は、1の業務のほか、その目的を達成するため、お年玉付郵便葉書等及び寄附
  金付郵便葉書等の発行並びにこれらの業務に附帯する業務を営むことができる。
 3 会社は、1及び2の業務のほか、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、総務
  大臣の認可を受けて、1及び2の業務以外の業務を営むことができる。
三、社会貢献業務計画
  会社は、総務省令で定めるところにより、3事業年度ごとに、3事業年度を1期とす
 る社会貢献業務の実施に関する計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。
四、監督
 1 会社は、新株等を引き受ける者の募集、事業計画、重要な財産の譲渡等、定款の変
  更の決議等については、総務大臣の認可を受けなければならない。
 2 総務大臣は、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をし、報告を求め、及び検
  査することができる。
五、施行期日
  本法律は、一部の規定を除き、郵政民営化法の施行の日から施行する。
                 【附帯決議】
 郵政民営化法案(閣法第84号)と同一内容の附帯決議が行われている。
 
            郵便局株式会社法案(閣法第87号)
                  【要旨】
 本法律案は、郵政民営化を実施するため、郵便局株式会社を設立することとし、その目
的、業務の範囲等に関する事項を定めようとするものであり、その主な内容は次のとおり
である。
一、会社の目的
  郵便局株式会社(以下「会社」という。)は、郵便窓口業務及び郵便局を活用して行
 う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする。
二、業務等
 1 会社は、その目的を達成するため、郵便事業株式会社の委託を受けて行う郵便窓口
  業務及び印紙の売りさばき(これらの業務に附帯する業務を含む。)を営む。
 2 会社は、1の業務のほか、その目的を達成するため、次の業務を営むことができる。
  イ 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に定められた事
   務に係る業務
  ロ イのほか、銀行業及び生命保険業の代理業務その他の郵便局を活用して行う地域
   住民の利便の増進に資する業務
  ハ イ及びロの業務に附帯する業務
 3 会社は、1及び2の業務のほか、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、1及
  び2の業務以外の業務を営むことができる。
三、郵便局の設置
  会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨
 として郵便局を設置しなければならない。
四、地域貢献業務計画
  会社は、総務省令で定めるところにより、3事業年度ごとに、3事業年度を1期とす
 る地域貢献業務の実施に関する計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。
五、監督
 1 会社は、新株等を引き受ける者の募集、重要な財産の譲渡等、定款の変更の決議等
  については、総務大臣の認可を受けなければならない。
 2 総務大臣は、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をし、報告を求め、及び検
  査することができる。
六、施行期日
  本法律は、一部の規定を除き、郵政民営化法の施行の日から施行する。
 なお、本法律案は、衆議院において、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資
する業務として、銀行業及び生命保険業の代理業務を明示する修正が行われた。
                 【附帯決議】
 郵政民営化法案(閣法第84号)と同一内容の附帯決議が行われている。
 
    独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(閣法第88号)
                  【要旨】
 本法律案は、郵政民営化を実施するため、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機
構を設立し、その名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めようとするものであり、
その主な内容は次のとおりである。
一、機構の目的
  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機構」という。)は、日本郵
 政公社から承継した郵便貯金及び簡易生命保険を適正かつ確実に管理し、これらに係る
 債務を確実に履行し、もって郵政民営化に資することを目的とする。
二、業務等
 1 機構は、その目的を達成するため、廃止前の郵便貯金法等の規定による郵便貯金の
  業務及び廃止前の簡易生命保険法等の規定による簡易生命保険の業務等を行う。
 2 機構は、総務大臣の認可を受けて、銀行その他の者との契約により郵便貯金管理業
  務の一部を委託することができるとともに、委託を受けた者は、機構の同意を得て、
  委託を受けた郵便貯金管理業務の一部を他の者に再委託することができる。
 3 機構は、総務大臣の認可を受けて、生命保険会社を相手方として、再保険契約を締
  結することができるものとし、当該再保険関係により生じた債権の額につき、当該生
  命保険会社の総財産の上に先取特権を有する。
 4 機構は、総務大臣の認可を受けて、生命保険会社その他の者との契約により簡易生
  命保険管理業務の一部を委託することができるとともに、委託を受けた者は、機構の
  同意を得て、委託を受けた簡易生命保険管理業務の一部を他の者に再委託することが
  できる。
三、財務及び会計
  機構は、郵便貯金管理業務及び簡易生命保険管理業務ごとに経理を区分し、それぞれ
 郵便貯金勘定及び簡易生命保険勘定を設けて整理しなければならない。
四、政府保証
  政府は、郵便貯金として預入された貯金の払戻し及びその貯金の利子の支払並びに旧
 簡易生命保険契約に基づく保険金、年金等の支払に係る機構の債務を保証する。
五、施行期日
  本法律は、一部の規定を除き、郵政民営化法の施行の日から施行する。
                 【附帯決議】
 郵政民営化法案(閣法第84号)と同一内容の附帯決議が行われている。
 
  郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第89号)
                  【要旨】
 本法律案は、郵政民営化法、日本郵政株式会社法、郵便事業株式会社法、郵便局株式会
社法及び独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の施行に伴い、郵便貯金法、簡
易生命保険法、日本郵政公社法等の廃止その他の関係法律の規定の整備等を行おうとする
ものであり、その主な内容は次のとおりである。
一、郵便貯金法等13法律を廃止する。
二、民営化時に政府が保有することとなる日本郵政株式会社の株式の総数の3分の2に当
 たる株式は、国債の元金償還に充てる資金の充実に資するため、一般会計から無償で国
 債整理基金特別会計に所属替をする(国債整理基金特別会計法改正)。
三、ユニバーサルサービスの対象である郵便物からの小包の除外、郵便物の料金決定方法
 の見直し、郵便認証司制度の創設等のため、所要の規定を整備する(郵便法改正)。
四、郵便事業株式会社から郵便局株式会社への郵便窓口業務の委託義務、郵便局株式会社
 から地方公共団体等への再委託等に関する規定を整備する(郵政窓口事務の委託に関す
 る法律(改正後の題名は「郵便窓口業務の委託等に関する法律」)改正)。
五、郵政事業株式会社及び郵便局株式会社について、本来の業務の用に供する施設で政令
 で定めるものの事業所税を非課税とし、日本郵政公社の出資に係る固定資産のうち、本
 来業務の用に供するもので政令で定めるものについての固定資産税又は都市計画税の課
 税標準額を平成20年度から平成24年度までの5年間2分の1とするとともに、民営化以
 前に締結された簡易生命保険契約を引き続き所得控除の対象とする(地方税法改正)。
六、当分の間、日本郵政株式会社等の役職員をもって組織する共済組合を設け、共済組合
 が設けられたときは、当該役職員に対して国家公務員共済組合法を適用する(国家公務
 員共済組合法改正)。
七、国、特殊法人等についての特例を定めた規定から日本郵政公社を削除するための改正、
 公社役職員が公務員の身分を離れることに伴う改正等を関係法律について行う。
八、本法律は、一部の規定を除き、郵政民営化法の施行の日から施行する。
 なお、本法律案は、衆議院において、地方公営企業法について所要の改正を行う修正が
行われた。
                 【附帯決議】
 郵政民営化法案(閣法第84号)と同一内容の附帯決議が行われている。
 

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