◇「なしかい?」と質問状
九州新幹線長崎(西九州)ルート整備問題で、整備に伴い長崎線がJR九州から経営分離されることに反対している鹿島市の市民団体「なし?会」が27日、福岡市のJR九州本社を訪れ、石原進社長あてに公開質問状を出した。「なしかい?」(なぜか)と地元の素朴な疑問をぶつけている。
質問状では、なぜ(1)白いかもめ(長崎線の特急)がディーゼル列車に換えられようとしているのか(2)十数分の時間短縮のために国民の2700億円の税金を使うのか(3)JR九州は税金でつくられた新幹線を借りて、利益の範囲内でしかリース料を払わなくていいのか--などを問うている。
同社の関信介・広報室長は「社長に報告し、答えられるものについては答えていく」と話した。一方、同会の久原正之会長は「みんなで集めた質問なので、誠意を持って答えてほしい」と10月末までの返答を求めた。
新幹線整備をめぐる議論は、推進側の県と反対する鹿島市などの間で平行線のまま。同会は「住民とJRの民間同士で議論したい」としている。【関谷俊介】
◇経済効果非算出やり玉--県議会
一方、九州新幹線長崎ルート問題は、27日開かれた県議会県土整備常任委員会でも取り上げられ、県内への経済効果が示されていない点がやり玉に挙がった。委員側は県内での費用対効果の試算を要求。県側は「JR九州が情報を開示しないのでデータが出せない」と拒否し、議論は最後までかみ合わなかった。
この日質問したのは宮崎泰茂委員(市民リベラルの会)と土井敏行委員(自民)。2委員は「県民は費用対効果を疑問に思っている」などと追及し、県内の効果が示されない限り、是非を判断できないと主張した。
これに対し県は「かつてJRに旅客データの提供を要求したが断られた」と弁明。中村健一・交通政策部長は「算出するつもりはない」と突っぱねた。県はこれまで、国が出した全国新幹線網での費用対効果の数値しか示していない。【上田泰嗣】
毎日新聞 2007年9月28日