2007年10月02日 更新

157キロ右腕・佐藤由に5球団!本人は地元・楽天を熱望

今ドラフト人気ナンバーワンとなる佐藤由。みちのくの剛腕を射止めるのはどの球団か

今ドラフト人気ナンバーワンとなる佐藤由。みちのくの剛腕を射止めるのはどの球団か

 プロ野球の高校生ドラフトはいよいよ3日、都内で行われる。106人の高校生がプロ志望届を提出し、指名を待つが、今年の“三羽ガラス”といわれるのが、仙台育英(宮城)・佐藤由規投手、成田(千葉)・唐川侑己投手、大阪桐蔭・中田翔外野手だ。3人とも複数球団の競合は確実。ドラフト当日は、どんなドラマが待ち受けているのか。

 日米親善高校野球の行われた米国から9月上旬に帰国。みちのくの快速右腕・佐藤由は授業終了後に体を動かし、きたるべきプロでの活躍に備えている。

 9月10日にプロ志望届けを提出した際「地元で応援されたい気持ちがあります。応援してくれる場でやりたいです」と言葉を選びながら、楽天入りを熱望。その気持ちは日増しに募る一方だ。複数球団による競合は必至だが、地元仙台でのプレーを信じ続けている。

 2005年4月の仙台育英入学と同時に、楽天が1年目のシーズンを迎えた。佐藤由は2年夏から3季連続で甲子園に出場し、今夏2回戦の智弁学園(奈良)戦では、高校野球で甲子園最速となる155キロをマーク。横浜スカウトのスピードガンは156キロを計測した。そして9月の日米親善では、自己最速の157キロをマーク。底知れぬ潜在能力を示した。

 一方の楽天は2年連続最下位を経て、創設3年目の今シーズンは奮闘。就任2年目の野村克也監督(72)の下、9月29日に初の最下位脱出が確定するなど、発展を感じさせる上り調子の球団だ。自身の好投で楽天の快進撃に貢献したい思いは、素質に恵まれた右腕なら、当然の気持ちだ。

 楽天にはあこがれの田中将大投手(18)が在籍している。佐藤由は「一緒になったら教わったりもできるし、いい刺激になります」と1学年上のマー君と同じユニホーム姿で、同じ目標に向かって戦うことを願う。

 高校通算87本塁打の大阪桐蔭・中田と並ぶ逸材、佐藤由は仙台育英多賀城校舎内のホールで、期待と不安を胸に運命の瞬間を迎える。

打者では文句なしのナンバーワン。怪物・中田の行き先は…

打者では文句なしのナンバーワン。怪物・中田の行き先は…

★大阪桐蔭・中田、夢は「ホームラン王」

 “怪物”は運命の日を静かに待っている。

 「昔からプロの世界に入ることが夢でした。思い切りバットを振ることが持ち味。それだけは絶対に忘れないでいたい」

 史上1位の高校通算87本塁打の肩書をひっさげて、いよいよプロの世界に挑む。一時は8球団といわれた指名球団も、1巡目を再確認しているのは阪神、オリックス、日本ハム、ソフトバンクの4球団。それでも中田は「指名していただけるのなら、どこでもいきます」とこだわっていない。

 大阪大会決勝で金光大阪に敗れ、甲子園への道を断たれたあとは、打者一本で勝負する決意を固め、木製バットで練習を続けてサク越えを連発した。外野だけではなく、一、三塁も守れるようにノックを受けるなど、プロ入りへ向けた準備を着々と進めている。

 「チャンスで大きい当たりを打てることに、こだわっていく。ホームラン王、なってみたいですね」と夢を語る中田は、間違いなく今年最大の話題を集めた男。高校NO.1スラッガーは、熱い思いを胸に天命を待つ。

地元ロッテが入札を決めた唐川。潜在能力では1番との声も

地元ロッテが入札を決めた唐川。潜在能力では1番との声も

★将来性NO.1は成田・唐川

 即戦力が佐藤なら、将来性は唐川−。そう評するスカウトは多い。広島が1巡目指名を表明し、地元のロッテも獲得合戦に名乗りをあげている。

 その魅力は、1メートル81、76キロの長身から、無駄のないフォームで投げ込まれるストレート。最速148キロだが、まだ発展途上。練習試合ではストレートだけに限定して2ケタ三振を奪うことも、たびたびあった。力まずに投げるため、制球力が抜群で四死球が少ないことも、高い評価につながっている。

 この夏、157キロまで球速を上げた仙台育英・佐藤に、大きなあこがれと、少々のジェラシーを感じている。「球が速いのは、やっぱりカッコいいですよね」。まっすぐを極め続けた高校の3年間。来春、さらにストレートに磨きをかける唐川は、どこのユニホームを着ているのだろう。


■今年のドラフト

 分離開催方式となって3年目を迎える。今春に発覚した西武の裏金問題を受け、大学生・社会人ドラフトは希望入団枠が撤廃されたが、高校生ドラフトは基本的に従来通り。1巡目は入札抽選方式で行われる。
 高校生ドラフトは日本高野連に「プロ野球志望届」を提出した高校生106人が対象。1巡目の入札抽選方式で競合すればくじ引きとなる。昨年までは1巡目で抽選に外れた球団はウエーバー順に従って下位球団から指名したが、今年は全球団の指名が確定するまで抽選を繰り返す方式となった。2巡目は大学・社会人の1巡目指名を回避した球団が優遇措置としてウエーバー順で指名できるが、今回は回避した球団はなく、2巡目指名は実施されない。
 3巡目は下位球団からで4巡目は逆の順番となり、以降は折り返しで続く。ウエーバー順は高校生ドラフト1週間前の26日時点でのリーグ順位で決定。リーグの優先は今年のオールスター戦で勝ち越したセ・リーグに与えられ、3巡目はセの最下位の広島から指名していく。西武は裏金問題による制裁で上位2選手の指名権がはく奪されたため、4巡目からの参加となる。

2007高校生ドラフト1巡目指名予想
球団優先候補その他候補
セ・リーグ
中日佐藤由規中田、唐川
阪神中田翔
ヤクルト佐藤由規
巨人佐藤由規中田
広島唐川侑己
横浜佐藤由規
パ・リーグ
日本ハム中田翔
西武指名権なし
ソフトバンク中田翔唐川
ロッテ唐川侑己佐藤由
オリックス中田翔
楽天佐藤由規
【注】その他候補はスカウト会議で変更される場合あり。
西武は裏金問題の制裁で上位2選手の指名権なし