「カンガンノイタリ」。福田康夫首相が先週末、記者の質問にこんな難し言葉で答え、恐縮していた。辞書を引くと。
「汗顔の至り」と書き、顔に汗をかくほど非常に恥ずかしく感じることとあった。穴があったら入りたいと思ったかどうか。それほど面目を失わせたのは自ら代表を務める自民党選挙区支部で、資金処理をめぐるミスが相次ぎ発覚したのだ。
一つは政治資金収支報告書に添付した領収書のあて名を勝手に書き替え、経費付け替えの印象を与えた。もう一つは公職選挙法が禁止していることだが、国と契約を結んでいる業者から計二百万円の寄付を受けていたことが明かになったのだ。
担当者の事務的ミスと釈明、不正はないと強調したが最優先課題である「政治とカネ」問題で自らミソをつけた形となった。党副幹事長の政治団体が寄付金など総額約四千百万円もの収入記載漏れがあったことなども見逃せない。
一日、首相の所信表明演説を皮切りに臨時国会が再始動する。首相は安倍前内閣の転落劇の引き金になった政治とカネ問題に対する国民の厳しい目がみじんも変わっていないことを忘れてはなるまい。
命名した「背水の陣内閣」も、単にねじれ国会での野党攻勢への構えをいうのではなく、政治資金問題で法の抜け穴をつくってはならないとする国民の要望に応える決死の陣容であってほしい。