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2007年10月1日

 二十年前に国鉄がJRに変わった時、金沢駅にできた喫茶店で、どう見ても鉄路の男といった風情の屈強なウエーターが、ちょっぴり危なっかしいしぐさでコーヒーを運んできたのを思い出す

民営化の産みの苦しみの一端を見た思いがしたが今や金沢駅前も駅内も、金沢活性化の核として華麗に変ぼうを遂げた。きょうスタートする郵政民営化が二十年後に、どんな様相を呈するか。もはや探すのにも苦労する公衆電話のように、郵便ポストの運命を思いやる向きもある

二年前、郵政民営化を争点に、刺客がうようよ登場した総選挙は、まさに小泉劇場クライマックスの感があった。いつの間にか、刺された方々が“復権”する状況の中で既定路線となった民営化の熱気が冷めた感も否めない

何年か前、白山ろくの郵便局長に聞いた話では、村で初めてスキーを履いたのも、クマ撃ちの鉄砲を携帯したのも郵便配達員だった。状況がそうさせたとはいえ、かつて郵便は文明の風も運んできたのだ

今や郵便局内に和菓子を並べるところも出てきたそうだが、知恵と工夫で新風を吹き込めば、見守る「民」の目も温かいのではないか。


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