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2007年10月01日
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 社 説 


金融商品法/規律ある取引を広げたい2007年10月01日  
・医療再編/地域の実情をくんでこそ2007年10月01日  


医療再編/地域の実情をくんでこそ

 安心できる医療の体制づくり。多くの地域が直面する問題だ。都市部でも医師や看護師の確保に苦労する医療機関は少なくないが、診療施設が限られ、医師の数が足りない地方の実態はさらに切実である。

 兵庫県内でも但馬や丹波、播州の一部地域などで医療再編の動きが強まっている。病院の集約化、効率化は避けられないとする一方、根本的な問題解決につながるのか、といった指摘もなくはない。地域の将来を見据えた議論が不可欠だ。

 但馬には県立病院がなく、民間の病院も少ない。医療は市町による九つの公立病院と二十余りの診療所に支えられているが、ここ数年で約二十人の医師が辞め、内科や外科など日常診療にも支障がでている。

 「思い切った集約化が必要」として、市町長や病院幹部、県の医療政策担当者らが昨年七月、「医療確保対策協議会」を設立し、二月に再編計画をまとめた。

 中核の豊岡病院と八鹿病院に県の養成医を配置し、緊急・重症患者など急性期の医療に重点を置く。他の病院は症状が落ち着いた慢性期の医療を担う。出石、梁(やな)瀬(せ)、村岡の三病院は常勤医師の数を、最低限必要な三人に減らす-という内容だ。

 この十月から実施の運びだったが、配置換えの予定だった医師が辞めたりして、再編の雲行きが怪しくなっている。

 医師には職能に対する誇りがある。加えて、地域医療にすすんで従事する医師には住民の健康を守ることに責任を感じ、意欲的に取り組む人が少なくない。日々の診療にとどまらず、予防や生活習慣にまで、こと細かく注意を向けている。

 医療の再編に当たり、地域で行われているこうした医療の姿がきちんと把握されているだろうか。医師の意向や地域の実情に沿わない数合わせになっていないか。

 県保険医協会の但馬支部が、この夏に開いた但馬の医療問題懇談会は、地域医療の一端を浮き彫りにした。

 例えば梁瀬病院の医師は二十年来、住民対象に健康教室を開いてきた。肺がんや胃がんを早期発見し、治療につなげたこともある。訪問診療では、在宅で療養する多くの末期がん患者を支えてきた。地域医療はそうした地道な活動で成り立っている。

 緊急手術に対応する高度医療も大切だが、全人的な治療を息長く続けられる医師がいてこそ、地域の安心が保たれる。

 丹波では、医療の危機を契機に住民が医療機関とのかかわりを深めている。

 医療を守るために何が必要か。地域の人々が自らの問題として考えるときだ。


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