
初めての事態にうなだれる中学生。
テンパっている劇場係員。
立ち見と聞き、体力的に無理かもと帰る30代ヲタ。
「最近のヲタは根性がない」と苦笑するT先生。
シネコン・システムとなってから、
あまり映画を見るのに並ぶということはなくなった。
が、『エヴァンゲリヲン新劇場版・序』に関しては例外。
まずシネ・リーブル梅田は席が自由席。そして座席は150席前後。
梅田ではこのシネ・リーブルだけ。せめて1日・2日は2会場は開けるべきと思うが、
残念ながらそうではなく、劇場は混み合った。
10時半に管理人とT先生は到着したわけだが、すでに15時40分の回で立ち見確定。
座ってご覧になりたい方は21時以降になりますと劇場係員。
拡声器を使うべきだが館内の規定で使えないのか、そもそも用意していなかったのか
声がなっかなか並んでいる人に届かない。たいへんだ。
立ち見ということを知って引き返す中学生やヲタがいて、
T先生は「時代ですかねぇ」としみじみ。
彼は12年前の社会現象化した頃のチルドレンであるので
エヴァを見るために大行列を作った中にいたそうだ。
ある意味で、今のヲタクのドライさかなァ、と管理人も感じた。
なんとなく、必死さには欠けている感じ。
おかげでチケットは確保できたのだが。
時間があるので先に『トランスフォーマー』を見に行く。
管理人は2度目であるが、やはり楽しめた。
内容がない映画なので、今回は映像に集中する。
『悪魔のいけに』のリメイク作『テキサスチェーンソー』のパロディもあったのか、
と苦笑。マイケル・ベイ、自虐的ギャグやりすぎだ。
T先生はかなり楽しんだご様子で、劇場を出るとご満悦であった。
軽くラーメンを食し、ヨドバシでホビー閲覧。
そしてシネ・リーブルへ戻る。
劇場には整理券順に入場。
ヲタのマナーの悪さに辟易としつつ、これもまたイベントの醍醐味の一つか。
ヲタは自分しか本当に見えていないのだなァ、としみじみ。
なお、上映終了後はスタッフロールでべしゃべしゃしゃべる者もいて、
映画の余韻を楽しむこともできないかった。この件ではT先生も激怒。
宇多田の歌がね、けっこう良いだけに残念。
映画自体は、前半1時間はTVのダイジェスト。
後半1時間はヤシマ作戦の完全リメイク。
ただ、要所要所で新しい場面が挿入され、特に大人の身勝手さがよく出ていた。
次回予告で驚きもあり、それなりに満足して会場を後にし、地元に戻る。
行きつけの居酒屋さんに行き、『エヴァ』を中心にいろいろな話をした。
管理人的に、今回の『エヴァ新劇場版』は、リメイクであって、
リメイクではないのかもしれないな、と感じた。
ある意味で作り手側が大人になり、そして現在の日本アニメに対し、
結局この12年、『エヴァ』を超えることができなかったことへの警鐘、
そして彼らの12年の結果を出そうという意欲がはっきりと映像に出ていた。
CGの使い方が非常に上手く(センスがあると言うべきか)、好印象。
本当の意味での職人であり、同人的である庵野の作品作りは、
12年前の『エヴァ』をトレースし、
そしてわかる者だけわかる作りになっていたような気がする。
ただのリメイクだと劇場を出る時に激怒していたヲタの声を聞いたが、
映像は明らかに違うように管理人は感じたし、
話は確かに同じであったが、古くさくなく、『現在の子ども達』が置かれた
複雑な状況とかぶり、痛切に胸を打つ。
あるシーンで葛城ミサトが主人公の父親に対し放つ台詞は
まったく『エヴァ』らしくなかったが、
それだけスタッフが大人になり、親になった証拠かな、と思ったし、
見る側もまた、大人になってしまったな、と感じた。
混み合った中で、一生懸命見ていた中学生たちが何を感じたのか?
彼らの感じたモノが『エヴァ新劇場版』の価値であるように感じる。
『エヴァ』はあくまでも母性の物語であり、
未来を子どもに託してしまった大人たちの寓話である。
それを痛切に感じ、そしてその身勝手さに震撼する。
親殺しの事件が『エヴァ』TV放映以降続発し、『少年の心の闇』という便利な言葉で
子ども達を理解しようと表向きはしている大人たちがいて、
でも誰も彼らを理解していない。
世間一般で言う「よい子」とは大人に従順なる子どもであるのだろう、
と管理人は思う。
大人(親)が敷いたレールに乗っかり、限界が来ても家庭に逃げ場はなく、
追い詰められていく子ども達。
幸せのために誰もが子を育てているだろうに、なぜそうなっていくのか?
『エヴァ』にはその答えが秘められている。
それが『ガンダム』や宮崎アニメにはないものであり、
『エヴァ』に自分を投影したT先生世代が出現した原因だろう。
『エヴァ』は人間の本質を突いている。
大人と子どもの関係性の危うさを説いている。
哲学的であり、直感的にそれを感じることができる映像作品だ。
『エヴァ新劇場版』は、次回作『破』をはじめ、残り3部用意されている。
次回予告を見る限り、ある意味で、
日本という国の精神的暗部の12年間を抉る作品となっていくような気がする。
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