★ GCゲームレビュー ★

短時間で楽しめるパズル要素の強い作品
「ピクミン」

  • ジャンル:AIアクション
  • 発売元:任天堂株式会社
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドーゲームキューブ
  • 発売日:発売中(10月26日)

【ゲームの内容】

 とある惑星に不時着した主人公が、“ピクミン”と名付けた生物を引き連れて、宇宙船の部品を回収していく、一風変わったアクションゲーム。ピクミンをうまく誘導しながら、どんどん増やし、そのほかの生物の妨害をかわしたり、戦って倒したりして宇宙船を修理していくことになる。ピクミンの習性を活かして様々な仕掛けを利用する、パズルゲーム的要素が強い作品。




 CMで初めてこのゲームを知った人は、このゲームは「ピクミンをたくさん連れて、一緒に敵と戦うゲーム」などと思った人も多いだろう。実際、筆者はそう思った。「ピクミンが食べられるゲーム」とさえ思っていたほどだ。しかし、実際プレイしてみるとそれだけではない、むしろ明らかに間違いであることがわかる。

 必要となる部品をいかに集めるか、という目的のために、ピクミンをうまく利用するこの作品はパズル的要素がたっぷり。このやりごたえのある「ピクミン」の持つ魅力をレビューでお伝えしよう。


 主役はあくまでピクミン。主人公ができることは限られている

 主人公・オリマーができることはいたってシンプルで、ピクミンをつかんで目標に投げつけたり、散らばったピクミンに集合をかけるなどの司令官的役割に限られる。逆に、ものを運んだり、戦ったりするのはすべてピクミンたちの仕事。オリマー自ら戦いに参加してもいいが、自分がダメージを受けて倒れてしまっては元も子もないので、極力避けることになるだろう。

 実質的な作業をするピクミンは、初めはたったの1匹しかいない。まずは、この1匹を使って「ペレット」と呼ばれる丸い台のようなものを運ばせる。これをピクミンが「オニヨン」と呼ばれるピクミンの家に運び込むことで、タネが放出されてピクミンが増えるのだ。ペレット以外にも、この星に生息している生物を倒して、オニヨンまで運べば生物によって決められた数のタネが出てくる。後は、芽が出たピクミンを引っこ抜いて仲間を増やしていくことを繰り返す。

 さて、ピクミンたちが増えたら、落ちているものなどに投げつけてみる。するとその頭上に数字が現れ、何匹のピクミンで運搬が可能かなのがわかる。その数だけピクミンを投げつければ、ピクミンは運搬を始める。

 ピクミンはいろいろなものに興味を示す。別の生物であれば戦うし、特定の芝を抜き始めたり、壁を叩いてみたりなどなど、いろいろなアクションを起こしてくれる。中には爆弾のようなものがあり、これをピクミンに使わせて石の壁(岩の壁)を破壊するといったことまでできる。こうして、最初は行けなかったエリアを開拓していくといった作業も行なわなければならない。こんなピクミンの習性を利用して、星のどこかに落ちている宇宙船の部品を回収していき、故郷への帰還を目指してがんばるのだ。

ある惑星に墜落したオリマー。ここでピクミンとの対面を果たす
部品を集めて、一定個数回収すると、新たなエリアへと移動できる


 ピクミンは3種類。それぞれの特徴を活かして使い分けろ

 ピクミンには“赤”、“黄”、“青”の3タイプがいて、それぞれ特殊な能力を持っている。最もスタンダードなのが赤ピクミン。最初にこのピクミンを使って1つ目の部品を回収することになる。他のピクミンと比べ、力があるようで、戦いなどに利用するといいだろう。また、始めからのつきあいなので、数も増やしやすいはずだ。

 次に遭遇する黄ピクミンは、木の実に似た爆弾を持つことができ、これを生物に対して使って攻撃したり、岩の壁を壊したりできる。これが最大の特徴であり、強みでもある。特に岩の壁は爆弾以外で破壊できないので、この黄ピクミンが必ず必要になってくる。また、もうひとつの特徴として、ピクミンを投げたときの軌道が少々他の色よりも高い、という違いもある。高い場所のものを回収するなら、このピクミンを利用していこう。それでもダメなら別の方法を探すしかないが。

 最後は青ピクミン。このピクミンのみ、水に入ってもおぼれない。いわゆる水棲のピクミンである。場所によっては水たまりなどが行く手を阻み、通れない場所もある。そんなときに青ピクミンが本領を発揮するわけだ。彼らによって水場などのエリアを探索できるようになり、さらに活動範囲は広がる。

 このように、3種のピクミンによって利用法が違ってくる。ピクミン各色を上手に使い分けるというテクニックも、このゲームを進める上で欠かせない要素。言い換えれば、3種のピクミンを集めて、初めてゲームを本格的に進められるのだ。

赤ピクミン黄ピクミン青ピクミン
スタンダードなピクミン。最初からオリマーの友として使える 爆弾をつかめるピクミンで、壁の破壊などに利用する 唯一水を歩けるピクミン。水場で大活躍


 活動時間は限られる。ピクミンを誘導するテクニックが重要

 1つのエリアに登場させられるピクミンは100匹まで、という上限があるので、この中でアイテムを回収したり仕掛けを作動させたりしなければならない。連れて行くピクミンが多くなればなるほど、移動時に置き去りにされる不幸なものも増える。特に細い足場などでは、オリマーに続くピクミンが足を踏み外し、下へボロボロと落ちていくこともよくある。これを防ぐために、ピクミンたちをいったん待機させ、少しずつ連れて移動するといった方法を使ったりと、誘導方法に工夫をしなければならない。これを見つけたり開発するといった楽しみもこのゲームならではだろう。

 さらに、オリマーに与えられている猶予は30日。この間にすべてのパーツを集めなければならないという制限がある。そして、彼らが1日に活動できる時間は決められており、夜になると強制的に1日が終わりとなり、地上から離れることになる。このとき、地上にピクミンが残っていると、可哀想なことに他の生物に食べられてしまう。

 そうならないためにも、脱落者を出さないようにピクミンを誘導しながら、いくつもの場所で同時に作業をさせることも必要となる。こうして、決められた時間の中でできる限りのことを効率よく行ない、夕方になる前に素早く撤収する。的確な誘導と、複数の作業を手際よく一度にこなす方法を探すことこそ、このゲームの楽しみなのだ。

上のメーターがタイマー。これが右端に来るまでにピクミンを引き連れるか、オニヨンに戻すのだ


プレイ時間が程良い長さで、手軽に楽しめる

 実際にプレイしてみるとわかるが、ゲーム内の1日がだいたい15分程度で終了する。この間にいろいろなことをしなければならず、先へ進めば進むほど時間がなくなってしまう。また、最初のプレイでは要領がよくわからず、無駄なことで時間をつぶしてしまうことも多い。そのため、初めての場所ではまずあたりを調べて、仕掛けなどを把握し、やることを考えつつ、セーブデータをロードして再度プレイ、といった方法を使うことになる。だが、1日が15分程度であるため、このような方法でプレイしても1日が1時間以内で済むのは嬉しい。ちょっとした時間でゲームを楽しみたい人にはぴったりのボリュームといえよう。

 また、その中に、効果的なピクミンたちの誘導法、効率のよい生物との戦い方など、攻略要素、つまりハマる要素も十分備えている。また、キャラクタたちのリアクションも豊富で、ピクミンの動きを見ているだけでも飽きない。また、1日でどのくらいピクミンを増やせるかといった、タイムアタックなどのミニゲームが用意されているのも嬉しい。

 期限が決められている、ということも、最初はあくせく追い立てられるようにプレイすることになるだろうが、プレイを繰り返していけば期日の半分ぐらいでクリアすることも可能。そうなれば、のんびりとしたプレイを楽しみたい人は、ピクミンを大量に引き連れて散歩気分でのプレイも十分できるだろう。何もしないでボーッとこの世界にひたっていたい、という気分にさせてくれる作品なのだ。

 実際にゲームをしてコツさえつかめば、すんなりと楽しめてしまう。これはやはり、ゲームのバランス調整や大勢のピクミンを操る爽快感などがプレーヤーを虜にしてしまうのだろう。そして思い通りに動かないピクミンに対する“もどかしさ”がどことなく面白いというのも、このゲームのデキの良さとも思える。忍耐強い人やこつこつと努力するのが大好きな人なら、よりオススメのゲームではなかろうか。




(C)2001 NINTENDO

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□製品情報
http://www.nintendo.co.jp/ngc/gpij/index.html
□関連情報
【5月17日】Electronic Entertainment Expo 2001現地レポート
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魅力あふれるゲームがズラリ勢揃い
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20010517/e3_02.htm

(2001年11月9日)

[Reported by 渡辺洋二]

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