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「しゃもきち」(東京・西日暮里)

【 2007/02/22 】 

軍鶏料理・炭火焼き鳥「しゃもきち」がオープンしたのは2年半前の2004年9月2日。オーナーは木村敏文さん(40歳)、共に働く井出さんとの共同出資で、ビジネス街でも住宅街でもない場所、西日暮里を選び出店を果たした。いまでは、ランチは2回転半、ディナーは遠方から足を運んでいただける顧客もついてきたとのこと。しかし、毎日が研究の日々で「『美味しい』と聞いたらすぐに飛んでいきますよ」と木村さん。フットワークの良さが成功の秘訣なのだろうか。

「しゃもきち」(東京・西日暮里)

「しゃもきち」(東京・西日暮里)

「しゃもきち」(東京・西日暮里)

「しゃもきち」(東京・西日暮里)

「しゃもきち」(東京・西日暮里)

「しゃもきち」(東京・西日暮里)

店舗データ
「しゃもきち」
住所:東京都荒川区西日暮里5-16-2
住所:オオバビル1階
TEL:03-3807-8733
営業時間:昼 11時30分〜14時
営業時間:夜 17時〜24時(L.O.23時)
定休日:日曜日
(ただし、月曜が祝日の際には日曜営業で祝日が定休)
HP:http://www.shamokichi.com


■ 独立はこの道を選んだときからの夢

木村さんは、調理師学校を卒業後、ホテルの和食部門へ就職。懐石、割烹から宴会料理まで縦社会の厳しい修業を積み、大手居酒屋チェーンの新業態立ち上げに誘われ転職。チェーン企業で人脈をつくり、独立へ着実に足固めをはじめた。35歳頃から共同出資者井出さんと、具体的な業態を話し合いながら、事業計画を作り上げる。物件は50件以上を回り、食材の仕入れに対しては、独自のルートで開拓した結果、計画開始から2年、物件開拓開始から1年半で夢の舞台が幕を開けた。38歳であった。

■資金繰りの壁

オープンまでは決して順調であったとはいえない。
物件契約が済み、様々なことが動き始めたころ、大きな壁がまっていた。
内装業者は様々な紹介を受け、2社に絞込みプレゼンを行なってもらい決定した。
炭火の煙がこもらないようにダクトを焼き台から全面吸い込みにしてみたり、カウンターの高さをあわせるため底上げをするなど、きめ細やかな配慮により、費用もかさんでいった。自己資金は共同出資で1千万。残りは公庫に借り入れを希望。1500万希望に対し、50%の審査結果となり、一度は事業が白紙になりそうに。木村さんが頼みの綱として、頭を下げたのが両親だったという。
「今まで親に援助を頼んだことはなかったんですけどね。さすがにこのときばかりは、手付け金も発生していたもので、どうしようもなく親の力を頼りました。その結果、実家を担保に満額の審査がおり、計画が進行できたのです。」

■「しゃもきち」ネーミング

店舗のネーミングを考える場面では、何よりも『わかりやすさ』を求めたという。
「子供でもわかるように、ひらがなにしたのですが、付けてみて驚いたのは、意外にも軍鶏の認知度がなかったことですね。名前がわかりやすいと思い、オープン当初はのれんだけでひっそりと佇んでいたんです。そうしたら、お客様から『何のおみせですか?』って聞かれることがおおくて、今では看板をしっかり出しています(笑)。」
同様に、経営企業の名前もひらがな、有限会社かいである。
これは「開」をひらがなで表記、井出さんのアイデアだそうだ。
「何よりも覚えてもらいやすいということが一番ですから」と木村さん。

■ 軍鶏・鶏肉・卵のこだわり

「コンセプトを決定し、軍鶏・鶏にこだわると決めてからは、ありとあらゆる店を食べ歩きましたね。はっきりいって、今までの経験で炭火の焼き鳥は扱ったことがなかったんです。でも、いろんなところへ出向き、味わうたびに、鶏のうまみを引き出す炭火に魅了されていきました。そんなとき、肉質に感動した一つの店舗と出会ったのです。何とかして、その鶏肉を仕入れている業者を突き止めようと、必死で店内を見渡していると、なんとレジ横の電話の近くに業者の名前と電話番号が!もう無我夢中で携帯に登録しましたよ。」
その後の行動は簡単だ。熱い思いを伝え、取引していただくよう交渉を試みた。結果、そのときの業者が今の主要取り引き先だという。

■ 人気メニューの秘密

うれしい悲鳴で人気の親子丼は奥が深い。
「軍鶏の親子丼と、赤鶏の親子丼ではまず、使用する卵も違います。
軍鶏のほうは、千葉・自然鶏の卵、赤鶏には赤鶏の卵を使用します。
だしはわずかな昆布でとったほぼ水のような状態にしょうゆとみりんを絶妙なバランスで加え、あとは鶏のだしと卵の味で勝負です。通常のサイズは卵3個。2個は黄身と白身が分離した状態で流し込み、残りの1個はきっちんと混ぜ合わせたもので覆いかぶせます。最後にふたを閉めて蒸し状態に。お客様がふたを取るときが最高の半熟状態です。ごはんは会津産のコシヒカリを固めに炊き、だしを十分に吸い込み食べごろになるようにしています。」やみつきにある味わいだ。ほかに、忘れてはいけないのが、「しゃも鍋」スープは6時間煮込んだ逸品だ。さらに、金曜日限定で秋田・比内鶏が入荷する。ぜひ刺身で味わってほしいとのこと。毎日、北千住の市場で仕入れを行なう鮮魚の刺身も賞味の価値は高い。
いわゆる顧客満足度はかなり高いであろう。

■ 今後の展望

現在客単価は4500円〜5000円、30席にして月商は550〜600万。
さて、次の構想はあるのだろうか。
「本当に今のメニューがベストであるかということは、スタッフ一同でよく話しあいます。すべてのメニューに自信が持てたとき、大きな箱へ移ること、もしくは2号店を出すことを考えますよ。」と木村さん。
おそらく、近い将来であることは間違いない。


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