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「民営郵政」、いよいよスタート 4事業会社に

2007年10月01日00時07分

 郵政事業が1日、民営化された。24万人が働く巨大グループは136年に及んだ「官業」の歴史に幕を閉じ、持ち株会社日本郵政と傘下の郵便、郵便局、郵便貯金、簡易保険の4事業会社に再編されて、新たなスタートを切った。システム切り替えなどの作業のため、職員は土日返上で準備に追われた。

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民営化への移行作業が進む日本橋郵便局。局舎入り口の覆いを外すと新しいロゴマークが現れた=30日夜、東京都中央区で

 日本郵政公社は7月以降、4事業会社別にリハーサルを繰り返してきた。銀行、保険の代理店業務を委託される郵便局には、本人確認の厳格化や、振り込みでの収入印紙張り付けなどの作業が加わる。営業時間外に新業務の練習を繰り返してきた局も多い。

 システムも1日から切り替わる。新たに負担する印紙税への対応や、郵便配達員の業務にIT端末を導入するため、総額1000億円をシステム構築に投入した。

 ただ、初日は記念切手が発売されることもあって、窓口の混雑が予想される。民営化初日に「記念貯金」する客も多いと見込まれ、1日はシステムや業務に大きな負荷がかかる可能性が高い。

 日本郵政の西川善文社長は、システムの準備状況について「間違いないと確認済み」とする一方で、「思わぬトラブルがないとは言い切れない」とも述べる。郵便事業会社は混乱に備えて本社社員らを主要郵便局に派遣し、応援に回す予定だ。

 民営化に伴う変化の一つに、郵貯の送金手数料の変更がある。これまで負担せずに済んだ印紙税が新たに必要となるため、3万円以上の振替は330円(従来は1万円超10万円以下で150円=窓口)に。1枚10円というコスト割れの低価格に抑えてきた定額小為替も、民営化後は1枚100円となるなど、値上がりが目立つ。

 「安心」を売り物にしてきた定期性貯金(定額貯金など)や簡易保険は、民営化前に預け入れた分については今後も政府保証がつく。ただ、新たな契約からは、政府保証が外れる。

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