富士スピードウェイ(SW)の冨田務会長と加藤裕明社長は30日、同SWで30年ぶりのF1レースとなった日本グランプリ終了後に記者会見し、レース観戦に支障を来した観客に対して入場料などを返金するなどの措置を取ると発表した。返金額は3億5千万円以上。冨田会長は「楽しみにしていたファンに十分に応えられなかった。謙虚に反省し、改善していきたい」と頭を下げた。
対象となるのは指定席の仮設スタンドC席(入場料6万1千円)の観客約7000人など。C席に関してはフリー走行のあった28日から観客から「コースが見えない」との苦情が相次ぎ、「それでは自由席(同1万1千円)と同じ」(加藤社長)として自由席との差額5万円の返金を決定。常設スタンドとのこう配差が原因で、C席は10日ほど前に完成していたが、座席からのコースの見え方を確認していなかったという。
また、29日に構内道路の一部で陥没が起こり、観客のうち約2万人が最長4時間以上もシャトルバスを待つという事態が発生。それに伴う改修工事の影響で30日の決勝開始時までに入場できなかった85人に対しても入場料を返金し、交通費、宿泊費も補償する。
今回は交通渋滞の緩和のため、入場券保持者をシャトルバスで近隣の鉄道駅などとサーキットを往復する「チケット・アンド・ライド方式」を採用した。構内道路の陥没という「予想できなかった」(加藤社長)事態に端を発した一連の不手際に、同社長は「バスの荷重に耐えられる道路にする。今回の交通計画が正しかったかについても、全力を挙げて検討したい」と話した。
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