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社説1 ミャンマー軍政に制裁発動と国際圧力を(9/29)

 ミャンマーの軍事独裁政権による武力弾圧の映像は、世界中に衝撃を与えた。自動小銃で武装した治安部隊を投入、抗議運動を展開する僧侶、市民らに向け銃撃、日本人ジャーナリスト長井健司さんも犠牲になった。日本政府が厳重に抗議したことは当然だが、それでは済まない。非難の意味を込めて制裁措置の発動を検討すべきである。

 僧侶、市民のデモは平和的に展開されてきた。軍事政権はそれに発砲、さらに寺院を急襲して多数の僧侶を拘束した。残忍な弾圧としか言いようがない。

 死亡した長井さんは心臓が撃ち抜かれていたとされる。至近距離から撃たれたのか、地面に横たわりながらも、小型カメラを放さなかった。日本政府は籔中32外務審議官をミャンマーに派遣する。軍政当局に徹底した捜査と謝罪を求めるべきだ。

 軍事政権が流血の惨事を引き起こしたにもかかわらず、福田康夫首相は制裁発動には慎重だ。情勢の展開をさらに見る必要があると述べ、人道支援も続ける考えを示唆した。対応が甘いのではないか。

 米国はミャンマーの軍事政権首脳、銀行に照準を合わせた制裁を新たに実施した。日本政府も軍事政権関係者にねらいを定め何ができるか知恵を絞るべきだ。それが実質的な影響を与えなくても日本の意思を伝えることが重要だ。

 人道援助は確かに一般の援助とは違い、じかに市民生活を助けるためそう簡単にはやめにくい。しかし時には重い決断も必要だ。

 民主化運動の精神的支柱アウン・サン・スー・チーさんはかつて、軍政が続く限り援助はいらないと述べたこともある。

 国際社会は今、中国の対応を注視している。中国は資源開発、貿易や兵器輸出を通じてミャンマー軍事政権を支えてきた。中国は最も大きな影響力を与えられる国であろう。

 だが、内政不干渉を口実にロシアとともに国連安全保障理事会で非難決議の採択に反対した。温家宝首相は福田首相との電話会談で国際社会の建設的な対応へ中国としても努力すると述べたというが、優柔不断であるとの感は否めない。

 対照的に東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議はミャンマー政府に武力行使の即時停止とスー・チーさんら政治囚の解放を求めると決議した。これを歓迎する。

 今は国際社会が一致して軍事政権に対し、民主化へ踏み出すよう圧力をかけることが重要だ。

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